2026年8月19日
ポイント
●ウイルス感染24時間後のI型インターフェロン応答の強さが個体生存と相関することを発見。
●初期インターフェロン応答により、感染防御に働くICAM1陽性好中球が誘導されることを解明。
●新たに見出された好中球集団が感染初期の重症化予測や治療法開発の標的となる可能性に期待。
概要
北海道大学遺伝子病制御研究所の岡崎朋彦准教授、東京大学大学院薬学系研究科博士後期過程(研究当時)の齋藤里歩氏及び同大学大学院薬学系研究科の後藤由季子教授らの研究グループは、致死性ウイルス感染モデルを用いて、感染後わずか24時間以内に生じる免疫応答が、その後の個体の生死を左右することを明らかにしました。
同じウイルスに感染しても、その後の重症度には個人差があります。これまで遺伝子や年齢・生活習慣が個人差の原因として注目されてきました。しかし、遺伝的な違いがない動物に対し、均一に管理された実験環境でウイルス感染を行っても、重症度には個体差が生じることから、遺伝子・環境に依存しない応答の違いが存在する可能性があります。研究グループは、マウスに水疱性口内炎ウイルス(VSV)を感染させ、重症化の兆候が現れるよりも前に血液をとって保存しておき、その後生存したグループと死亡したグループで、感染初期の血液の状態に差があったかを調べました。その結果、生存したグループでは感染24時間後の時点でI型インターフェロン(IFN)が一過性に強く誘導され、それに伴いICAM1を発現する特殊な好中球集団の割合が血中で増加することを発見しました。一方、死亡したグループではこれらの応答が弱いことが分かりました。好中球がICAM1を発現しないマウスでは、感染後の生存率が低下しました。よって、ウイルス感染のごく早期にICAM1陽性好中球を十分誘導できるかどうかが、個体の生死を決定する分岐点となることが明らかになりました。
なお、本研究成果は、2026年8月18日(火)公開のiScience誌にオンライン掲載されました。
論文名:Type I IFN Dynamics Orchestrate Protective ICAM1⁺ Neutrophil Heterogeneity as an Early Checkpoint for Survival in Lethal Viral Infection(I型インターフェロンが誘導するICAM1陽性好中球が、致死性ウイルス感染における生存を左右する)
URL:https://doi.org/10.1016/j.isci.2026.117189
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本研究の概要図
ウイルス感染初期に、生存群ではI型IFN応答がより強く誘導され、骨髄中で好中球におけるICAM1発現が上昇する。ICAM1陽性好中球はウイルス感染後の生存に寄与する。



















