
学生の案内でエルムの森を歩く参加者
連日の暑さが少し和らいだ7月18日(土)、札幌キャンパスで、北大の学生が市民を案内する特別なキャンパスツアーが行われました。朝9時から午後にかけて、「アイヌ文化をめぐろう」「自然の恵みを歩く」「北大生と農場について知ろう」をテーマに3つのツアーが行われ、それぞれ10名の市民が参加しました。
このツアーは、今年度初めて開講した新入生向けの一般教育演習(フレッシュマンセミナー)「北大キャンパスガイド実践」の仕上げとして実施されたものです。北海道大学が社会連携の一つのあり方として進める「ひらかれた北大キャンパス」の実現に向けた取り組みの一環でもあります。
受講生たちは5月からの一連の講義と演習を通じて、社会との共創、ガイドの役割、キャンパスの歴史や文化、生物多様性など、多角的な視点から北大キャンパスについて学んできました。その後、3つのグループに分かれてツアーの企画を練り、模擬ツアーを経て、この日の本番に臨みました。学生の一人は、「人前で話すのが苦手なので、それを克服したいと思って参加しました」と、受講のきっかけを話しました。

中央ローンの前で学生の説明に耳を傾ける参加者
「アイヌ文化をめぐろう」ツアーでは、総合博物館を出発し、エルムの森、農学部、中央ローンを経て正門に至る、歴史と自然が豊かなエリアを巡りました。学生たちは、キャンパスが設置される前、この地域にアイヌの人々が暮らしていたことや、当時サクシュコトニ川を遡上していたサケ、今も見られるハルニレやオオウバユリなど、自然の恵みを利用して生活していたことを、時に真剣な面持ちで伝えました。ツアー終了後、参加者からは、「アイヌの方々の当時の生活が想像できる尊い時間だった」「案内看板を見るよりも、学生が語る言葉の一言一言が自分に入ってきました」といった感想が聞かれました。
参加者に丁寧に語りかける学生たち
「自然の恵みを歩く」ツアーでは、中央ローンからサクシュコトニ川に沿って弓道場の脇を通り、農場の風景を見ながらポプラ並木の北側まで歩きました。途中で木に登るエゾリスやサクシュコトニ川の脇で休むオシドリに遭遇し、参加者から歓声が上がる一幕も。農場では北海道における稲作の歴史や防疫の大切さが紹介されたほか、道中では学生生活についても語られ、参加者は北大のさまざまな魅力に触れました。北大OBの参加者からは、「卒業生だけど初めて知ったことも多く、改めて誇らしく思いました。学生にはこのキャンパスを満喫してほしい」といった声が聞かれました。

学生生活についても説明しながら終始和やかなツアー
「北大生と農場について知ろう」ツアーでは、札幌農学校第2農場を出発し、キャンパス西側の森を抜けて、牛舎のある生物生産農場へ向かいました。札幌農学校第2農場では、寒冷地農業に必要なサイロなどの設備を札幌農学校の歴史とともに紹介。生物生産農場では、放牧を中心とする循環型酪農が現在も研究・実践されていることを伝えました。案内した学生は、札幌農学校の設立から150年を経た今、札幌のビルが立ち並ぶ都心部でサステイナブルな農業・畜産が研究されていることの意義を語りました。参加者の一人からは、「自分の学生時代には考えもしなかったが、今の学生の中心にSDGsがあることを実感した」との声が聞かれました。

農場で循環型酪農について説明する学生
ツアーを終えた学生からは、「人によって受け取り方が違うことを意識しながら話すことを学び、これからの人生に役立つと思う」「アイヌの方々の生活を想像する感覚が得られたことが大事だと思う」といった感想が聞かれ、それぞれ学びと達成感を得た様子でした。
この集中講義を企画した広報・社会連携本部の矢口美都里特任准教授は、「学生たちは、講義や実地演習で得た知識や気づきをもとに、自分たちの視点でキャンパスの魅力を捉え直し、ツアーとして形にしていきました。多様な専門の先生方をはじめ、関わってくださった皆さまのご協力が、この授業を形にしていくうえで大きな支えとなりました。市民の皆さまと関わる中で、学生が大学と社会のつながりを実感できたことは、これからの学びやものの見方を深めていくうえで確かな経験になると感じています。」と話しました。

ツアーを終えて参加者と感想を語り合う学生たち
文責・撮影:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門
取材協力:広報・社会連携本部 社会連携部門



















