「Space Cancer Therapeutics」プロジェクト※の軌道上実験が完了し、試料が北海道大学へ
疾患の治療法として、薬物治療は重要な役割を担っています。今後、有人宇宙飛行がますます活発になるなか、宇宙滞在中に発生する疾患に対して、地上と同様に有効な治療を行えるよう備えることは、宇宙で健康な生活を実現するための大きな課題の一つです。
北海道大学では、この課題の解決に向け、宇宙環境において薬物の効果が地上と比較してどのように変化するかを解析する「Space Cancer Therapeutics」プロジェクトを、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究として開始しました。本プロジェクトでは、膵がん患者で観察される遺伝子変異のパターンを模倣したモデルショウジョウバエを用いて、宇宙環境ががん治療薬の効果に及ぼす影響を調べます。
この取り組みの一環として、2026年5月15日(金)、遺伝子病制御研究所の園下将大教授と、大学院医学院博士課程の平田大賀氏は当該モデルショウジョウバエを、米国のケネディ宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟へ打ち上げました。軌道上では、飼育経過を観察しながら薬物投与実験を実施しました。
実験終了後、ショウジョウバエは凍結保存され、6月17日(水)に地上へ無事帰還しました。その後、凍結されたショウジョウバエ試料は、7月13日(月)にJAXAから北海道大学へ引き渡されました。今回の軌道上実験は、ほぼ予定通り完了しました。
今後は、地上に帰還した試料を詳細に解析し、宇宙環境におけるがん治療薬の効果の変化や、その分子メカニズムを解明します。得られた知見をもとに、将来の宇宙有人活動における疾患治療への貢献と、新たながん治療法の開発を目指します。
※JAXA 2020年度「きぼう」利用フィジビリティスタディテーマ「宇宙環境ががん治療薬の効果に与える影響の解明(Space Cancer Therapeutics)」
(https://humans-in-space.jaxa.jp/kibouser/subject/life/73114.html)

JAXA・桐間氏(左)からショウジョウバエ試料を受け取る園下教授(右)。

「Space Cancer Therapeutics」のミッションデカール。



















