2026年9月2日
ポイント
●ヨロイ竜類の新属新種命名は日本初。日本産恐竜としては14例目、北海道では3例目。
●アジアでは希少なノドサウルス類が、複数回にわたってアジアへ進出していたことを解明。
●海岸に近い環境を好む生態が、大陸間を移動して分布を広げるうえで重要だった可能性を示唆。
概要
北海道大学大学院理学院博士後期課程の大藪隼平氏、同大学総合博物館の小林快次教授、カナダ・カルガリー大学のダーラ ゼレニツキー准教授、米国・ニューメキシコ自然史博物館のアンソニー フィオリロ博士、三笠市立博物館の加納 学館長(研究当時)らの研究グループは、1995年に北海道夕張市の白亜紀後期セノマニアン期(約1億年前)の地層から発見された恐竜化石を再研究しました。CTスキャンによるデジタル・クリーニングによって、これまで岩石に隠れて観察できなかった骨の特徴を明らかにした結果、この恐竜がアジアでは発見例の少ないヨロイ竜類ノドサウルス科(肩に発達したスパイクをもつことが特徴)に属することを確認しました。さらに、他のノドサウルス類には見られない固有の特徴の組み合わせをもつことから、新属新種「ニッポノペルタ・エゾエンシス」と命名しました。属名のNipponopeltaは「日本の盾」、種小名のyezoensisは「蝦夷(北海道)の」を意味し、合わせて「北海道で見つかった日本の盾」という意味です。ヨロイ竜類の新属新種の命名は日本で初めてとなります。
系統解析の結果、ニッポノペルタは北米やヨーロッパのノドサウルス類と近縁であることが判明しました。また、アジアのノドサウルス類は系統樹上の異なる位置にあることから、異なる系統のノドサウルス類が、それぞれ独立して複数回にわたりアジアへ進出していたことを明らかにしました。アジアではノドサウルス類の化石記録が少ないことから、今回の研究は、約1億年前の恐竜たちの大陸間移動を知るうえで重要な手がかりとなります。
さらに、系統樹を用いて祖先の分布域と生息環境を復元したところ、ニッポノペルタを含むグループ(クレード)の最新共通祖先は、北米からアジアにまたがる広い地域に分布し、海に近い環境に生息する傾向があったことが示されました。この傾向は、他のヨロイ竜類のグループとは対照的です。これらの結果は、ノドサウルス類にとって、海に近い環境に暮らすという生態が、地域間の移動や分布域の拡大に重要な役割を果たした可能性を示しています。
なお、本研究成果は、2026年8月21日(金)、Cretaceous Research誌にオンライン公開されました。
論文名:A new nodosaurid ankylosaur (Dinosauria: Ornithischia) from the Upper Cretaceous Hikagenosawa Formation in Japan reveals dispersal pattern of Asian nodosaurid ankylosaurs(日本の上部白亜系日陰ノ沢層から産出した新たなヨロイ竜類ノドサウルス類の恐竜が明らかにする、アジアのノドサウルス類の分散パターン)
URL:https://doi.org/10.1016/j.cretres.2026.106477
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