2026年9月7日
ポイント
●卓上型(小型)NMRと機械学習を組み合せることで、複雑な母乳分析の簡略化に成功。
●小型装置では測定困難だった母乳オリゴ糖(HMO)の高精度な定量法を確立。
●医療現場で母乳の状態を即座に評価し、個別の授乳支援への応用に期待。
概要
北海道大学大学院先端生命科学研究院の相沢智康教授、中村公則教授、同大学大学院医学研究院の玉腰暁子教授らの研究グループは、小型で扱いやすい卓上型核磁気共鳴(NMR)装置の測定データに機械学習(AI)モデルを融合させることで、母乳中に含まれるオリゴ糖の量を、正確かつ簡便に定量する新技術を開発しました。
母乳オリゴ糖(HMO)は、赤ちゃんの腸内環境の形成や免疫発達を助ける重要な成分ですが、人による分泌型(遺伝的特性)の違いや授乳時期による変動が大きいという特徴があります。しかしそのオリゴ糖を簡単に精度よく測定することは困難でした。研究グループは、超高磁場核磁気共鳴(NMR)装置による高精度なデータを正解(教師データ)とし、小型で卓上型のNMR装置のデータから解析するワークフローを構築しました。その結果、信号が重複したデータから主要なHMO(2'-FL, 3-FL, LNFP-I)を、大型装置と遜色ない精度で定量することに成功しました。
本技術により、病院や地域の医療施設などの臨床現場において、お母さんの母乳の状態をその場で即座に評価・スクリーニングできるようになり、赤ちゃん一人ひとりの発育状態に応じた高度な授乳指導や個別化栄養ケアの実現が期待されます。
なお、本研究成果は、2026年7月25日(土)公開のJournal of Agricultural and Food Chemistry誌にオンライン掲載されました。
論文名:Machine Learning-Enabled Quantification of Fucosylated Human Milk Oligosaccharides in Human Breast Milk by Benchtop 1H NMR Spectroscopy(卓上型1H NMR分光法と機械学習を用いたヒト母乳中フコシル化母乳オリゴ糖の定量)
URL:https://doi.org/10.1021/acs.jafc.6c04775
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