2026年10月8日
ポイント
●AIと果実生理学の理論を組み合わせ、デジタルカメラの画像からブドウの成長を高精度で予測。
●サンプリングを必要としない非破壊的手法を確立。
●ワイン生産に向けて、収穫適期の判断やスマート農業の利用に必要な基盤技術を確立。
概要
北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの星野洋一郎教授、李 継瀟博士研究員、同大学大学院農学研究院の曾根輝雄教授らの研究グループは、人工知能(AI)を用いた画像解析でブドウ果実の成長を高精度で予測するモデルの開発を行いました。
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場余市果樹園が所在する余市町は、ワイン特区に指定され、ワイン用の高品質のブドウ果実の生産が求められています。そこで、環境の影響を強く受けるワイン用のブドウ品種の果実の成長を高精度で予測するモデルの開発を進めました。研究グループは、余市果樹園に植栽したブドウ品種'ケルナー'と'ツヴァイゲルト'の果房の画像を取得し、AI物体検出モデル「YOLOv8」により画像解析を行いました。果粒直径の計算を行ったところ、果粒の重なりや脱落等による擬似的なサイズの減少など、精度の低い成長曲線が生成されました。そこで、生育初期の果実直径が減少しないことを前提に組み込んだforcibly smoothed(F-smoothed)アルゴリズムの導入を試みました。その結果、両品種とも典型的な二重シグモイド成長曲線を示し、主に7月と8月に二つの異なる急成長期が生じていることがわかりました。本研究は、北海道地域における'ケルナー'と'ツヴァイゲルト'の生育パターンを裏付ける詳細な定量データを提示するもので、果実の成分分析や品質評価に向けたサンプリング時期の設計にも有用です。本研究で得られた成果は、ブドウの栽培管理や収量や収穫日予測を最適化する上で有用な情報を提供するものと考えられます。将来的には、収穫適期の判断や品質調査時期の決定など、スマート農業や高品質なワイン用ブドウ栽培への活用が期待されます。
なお、本研究成果は、2026年7月15日(水)公開のThe Horticulture Journal誌にオンライン掲載されました。
論文名:Monitoring relative grape berry growth in the field with YOLOv8 and biology-informed smoothing(YOLOv8とBiology-Informed Smoothingによるブドウ果実のモニタリング手法の確立)
URL:https://doi.org/10.2503/hortj.SZD-110
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YOLOv8によるブドウ果粒の認識の一例。発達途中のブドウ品種'ツヴァイゲルト'の果房を2024年8月3日に撮影。サイズと色の補正のため、自作したラベル札と一緒に撮影している。The Horticulture Journal誌掲載論文より転載(CC BY-NC 4.0、改変なし)。



















