2026年10月14日
ポイント
●海洋細菌Alteromonas属による炭酸固定を、培養実験と単細胞解析を用いて評価。
●Alteromonas属の寄与は、深海における炭酸固定の17%(中央値)に相当すると推定。
●深海微生物による無機炭素固定に従属栄養細菌も大きく関わることを定量的に示した。
概要
北海道大学大学院地球環境科学研究院の天野千恵准教授(研究当時:ウィーン大学博士研究員)、ウィーン大学及び上海海洋大学のフェデリコ・バルター教授らの国際研究グループは、全球海洋の遺伝子データの解析と、太平洋及び大西洋で採取した海水試料の解析を組み合わせ、深海の従属栄養細菌による炭酸固定を評価しました。炭酸固定とは、二酸化炭素や重炭酸イオンなどの無機炭素を材料として、細胞内で必要な有機化合物を作る反応です。解析の結果、有機物を利用する海洋細菌Alteromonas属が、補充反応(アナプレロティック反応)によって、深海における炭酸固定の一部を担っていることが分かりました。Alteromonas属による炭酸固定の寄与は、深海における炭酸固定の17%(中央値)に相当し、全球スケールでは年間0.2ペタグラム炭素に相当すると推定されます。また、他の従属栄養細菌も同様の補充反応を行うと考えられるため、深海の炭酸固定全体に占めるこの反応の割合はさらに大きい可能性があります。本成果は、深海で測定される無機炭素固定の一部が従属栄養代謝に由来することを示し、海洋炭素循環における従属栄養細菌の役割に新たな視点を与えるものです。
なお、本研究成果は、2026年6月15日(月)公開のNature Geoscience誌にオンライン掲載されました。
論文名:Major contribution of anaplerosis to inorganic carbon fixation in the dark ocean(深海における無機炭素固定への補充反応(アナプレロシス)の大きな寄与)
URL:https://doi.org/10.1038/s41561-026-02013-1
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