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東アジアにおける古生代地殻変動の新たな痕跡を発見~東アジア変動史空白時代の テクトニクス像描写や古地理復元に貢献~(総合博物館 助教 北野一平)

2026年10月1日

ポイント

●ベトナム中部高度変成岩から古生代前期デボン紀の変成作用の痕跡を東アジアで初めて発見。
●「熱く」活動的な島弧の「冷たく」非活動的な大陸縁への接合―衝突過程を示唆。
●東アジア変動史空白時代のテクトニクス像描写や古地理復元に貢献。

概要

北海道大学総合博物館のブイティシンブオン資料部研究員及び北野一平助教らの研究グループは、ベトナム中部ア・ブオン層から見出された変成岩について、岩石学的・年代学的解析を体系的に実施しました。その結果、東アジアでは報告例のない古生代前期デボン紀の変成作用を記録しており、島弧の接合―衝突過程により形成されたことが明らかになりました。

ベトナムには、アジア大陸形成に関連する古生代後期~中生代前期の大陸集合過程で形成された変成岩が断層帯または剪断帯に沿って分布していますが、ベトナム中部ではより古い古生代前期の地殻変動を記録する変成岩及び深成岩が産出しています。その古生代前期の形成テクトニクス場として大陸衝突場または沈み込み帯島弧火成活動場の二つの説が提唱されていますが、見解の一致に至っておらず、アジア大陸形成以前の古地理・テクトニクス復元の障壁となっています。研究グループは、その間接的な制約を与えるために、古生代前期の深成岩及び付随する変成岩からなるダイ・ロック岩体の周囲にあるア・ブオン層に着目しました。最近、同グループにより、ア・ブオン層から低度~高度変成岩が見出され、ベトナムでは初めての報告となる、地温勾配の降下をしめす反時計回りの変成経路を有することが判明しています。今回、詳細な岩石学的・年代学的解析を実施した結果、次のことが明らかになりました。①ア・ブオン層の原岩は、南中国地塊のカテイシア岩体のようなカンブリア紀頃の非活動大陸縁辺域の堆積岩類でした。②前期デボン紀に、ダイ・ロック岩体からなる「熱い」活動的島弧が局所的に「冷たい」非活動的なア・ブオン層に接合―衝突しました。③ア・ブオン層では、地温勾配の降下をしめす反時計回りの変成経路をもつ特異な高度変成岩が形成されました。④高温のダイ・ロック岩体では、低温のア・ブオン層との衝突により等圧冷却が生じて、ア・ブオン層高度変成岩形成条件にあたる角閃岩相条件に至りました。⑤その後、両者は地表に向けて上昇し、中生代前期に低温条件下で熱水変質を被りました。本研究の成果は、古生代前期の沈み込み帯島弧火成活動場を支持しますが、一部の島弧は大陸縁衝突していた履歴を明らかにし、広域的なテクトニクス場や古地理復元に貢献すると考えられます。

なお、本研究成果は、2026年9月7日(月)公開のJournal of Asian Earth Sciences誌にオンライン掲載されました。

論文名:Metamorphic evolution and detrital provenance of the A Vuong Formation, Southern Truong Son Belt, Vietnam: implications for the tectonic affinity of the Cathaysia Block and Early Devonian metamorphism(ベトナムチョン・ソン帯南部ア・ブオン層の変成進化と砕屑物供給源:カテイシア岩体とのテクトニックな関連性と前期デボン紀変成作用の示唆)
URL:https://doi.org/10.1016/j.jseaes.2026.107290

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