2024年11月28日
ポイント
●太陽系の固体物質の主要な材料の一つであるカーボンダストの形成を再現する微小重力実験を実施。
●天体から放出されるガスからカーボンダストが生成する仕組みの理解に必要なデータの取得に成功。
●宇宙における物質循環の理解につながる重要な1ピースになると期待。
概要
北海道大学低温科学研究所の木村勇気教授らの研究チームは、スウェーデン宇宙公社(SSC)の観測ロケットMASER 16を用いて、微小重力環境下で「主要な宇宙ダストであるカーボンダストの核生成過程の解明」を目的とした実験に成功しました。なお、この実験は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とドイツ航空宇宙センター(DLR)との国際協力のもとに実施されました。
カーボンダストは、天体から放出される高温のガスが冷える過程で生成される宇宙ダスト(星の欠片)の一種で、ナノメートルスケールの微粒子です。そして、星間物質の進化や惑星形成において重要な役割を担っています。そのため、カーボンダストの生成過程の理解は、宇宙の物質循環を知る上で根幹となります。本実験では、独自の実験装置を観測ロケットに搭載し、微小重力環境を利用した実験を行うことで炭素の微粒子が生成・成長する過程を直接測定し、その生成過程の理解を目指しました。
今回の実験で得られたデータを分析することで、カーボンダストの生成過程が明らかになり、宇宙史の中での物質進化の解明が飛躍的に進むことが期待されます。
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