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樽材向き北海道産ミズナラ、成長のカギを明らかに~持続可能な樽材用立木育成への貢献に期待~(北方生物圏フィールド科学センター 教授 吉田俊也)

2026年1月28日

北海道大学
北海道立総合研究機構

ポイント

●樽材向きのミズナラが持つ生育特性の傾向を特定することに成功。
●立木や丸太の外観から樽材向きのミズナラを見分ける方法を改良。
●希少な樽材向きのミズナラ立木を持続可能に育成する方法に寄与。

概要

北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の仲谷 朗氏と同大学北方生物圏フィールド科学センターの吉田俊也教授、北海道立総合研究機構森林研究本部林産試験場の村上 了主査、大崎久司主査、同機構森林研究本部林業試験場の大野泰之森林経営部長の研究グループは、ウイスキーの樽材として需要が急増しているミズナラを対象に、237個体の材のねじれ(繊維傾斜)度合や、チロースの出現比率を調べ、個体ごとの生育特性(年輪幅や木口面の偏心度、立地環境など)との関係を分析しました。

その結果、成長が遅く、年輪の中心(髄)が偏っていない個体は材のねじれ度合が小さく、道管に形成されるチロースの割合が多くなるため、液漏れしにくい材になる傾向があることを突き止めました。伐採や風倒などで立木の周囲にスペースが大きくできたとき、その成長速度は特に開放された方向に大きくなり、その結果年輪の中心も変化します。そのため、周囲にバランスよく、かつある程度密に立木が配置された状況を保ち、できるだけゆっくり育成させることで、樽材に適したミズナラを生産できる可能性があります。また、これまで材のねじれは樹皮の外観(割れ目の傾斜)から経験的に予測されていましたが、それらの関係は想定よりも弱いことが明らかになりました。材のねじれは周囲の環境変化で成長とともに少しずつ変化しますが、樹皮は経年劣化で外側から順番に剥がれ落ちていきます。そのため、樹皮から得られる情報は、長期間の蓄積で形成された材全体のねじれには反映されにくいと考えられました。今回の研究は、持続可能な樽材生産に向けて、林業分野や木材加工分野への応用が期待されます。

なお、本研究成果は、2025923日(火)公開のオランダの国際誌Forest Ecology and Managementにオンライン掲載されました。

論文名:Growth characteristics of standing individual Japanese oak (Quercus crispula) qualifying for barrel timber in a secondary forest(二次林における樽材適性のあるミズナラ(Quercus crispula)立木個体の生育特性)
URL:https://doi.org/10.1016/j.foreco.2025.123183

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ミズナラは他の外国産ナラ類にはない魅力を持ったウイスキー用の樽材になるが、それらと比較して道管を埋めるチロースの形成が少ないため、少しでも材にねじれがあると、液漏れが発生してしまう。