2026年4月8日
ポイント
●水深変化と流れの変化を伴う沿岸域において巨大波が発生する条件をはじめて理論化。
●実験によって巨大波発生理論を証明。
●流れを遡って進行する巨大波が短期間で最大6倍以上に増幅することを発見。
概要
北海道大学大学院工学研究院の渡部靖憲教授らの研究グループは、水深変化と流れの変化を伴う沿岸域において巨大波が発生する条件をはじめて理論化し、実証実験を通して妥当性の証明に成功しました。
巨大波(Rogue wave)は古くから海難事故の要因の一つといわれてきましたが、未だ発生機構が未解明の問題です。海洋のごく一部で急速に発達し異常な高さとなって巨大波が生じ、その後また短時間で衰退するという特徴を持ち、いつどこで発生するかも予測できません。一般には沿岸域のように水深が浅い海域では巨大波は発生しないとされていましたが、本研究で明らかになった理論では、浅水域においても巨大波が発生するだけでなく、水深の変化や流れ(海流、潮汐流や海浜流、河口からの河川水の流れ)があると巨大波がさらに増幅し、実証実験によると入射波浪の最大6倍を超える高さの波へと増幅することがはじめて明らかになりました。実験結果の分析から、特に逆流の流れの巨大波増幅への影響は大きいことが明らかになり、強い海流のある海域、大河川の河口域や、サロマ湖の湖口のような強い潮汐流のある沿岸域では異常な波浪増幅が発生する可能性があります。
未だしばしば報告されている海難事故の防止や異常高波による構造物の被災の防止、将来的な巨大波予測技術の開発に、本研究成果の貢献が期待されます。
なお、本研究成果は、2026年3月19日(木)公開のJournal of Geophysical Research: Oceans誌にオンライン掲載されました。
論文名:Dispersive Wave Focusing in Shoaling Water With Currents(流れをもつ浅水領域の分散性波浪集中)
URL:https://doi.org/10.1029/2025JC023479
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理論に従って造波された波群(黒)が伝播と共に縮小すると波高が増幅し、理論上の集中地点(x-xf=0m)で最大高さの巨大波となる(赤)。



















