4月6日(火)、文部科学省より科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に授与される「令和 3 年度文部科学大臣表彰」の受賞者が発表され、本学から「科学技術賞(研究部門)」3 名、「若手科学者賞」4 名の計7名が受賞しました。
それぞれの受賞者からのコメントをお届けします。
科学技術賞(研究部門)
飯塚 芳徳(いいづか よしのり ) 低温科学研究所 准教授
受賞業績:アイスコア内包微粒子の新規解析法による気候変動の研究
コメント:
この度は、文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門)を受賞させて頂きまして、誠に光栄に存じます。
北海道大学での大学院生時代から、雪氷学の研究をしてきました。低温実験室で試行錯誤しながら新しい雪氷試料の分析法を開発し、それをアイスコアという古環境を復元できる雪氷試料に応用してきた研究成果を、最高の形で評価頂きました。本成果は、私一人の力では到底なし得ることはできませんでした。ご指導、ご支援、ご尽力を賜わりました多くの皆様に、心より感謝申し上げます。
現在、文部科学省の科学研究費助成事業のご支援のもと、新しいアイスコアを取得するためにグリーンランドへの調査を計画しています。コロナ禍のなかでの計画実施の困難さをなんとか打開しようとbe ambitiousの精神で更に研究に邁進して参ります。今後とも、皆様からのご指導、ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
小林 快次(こばやし よしつぐ) 総合博物館 教授
受賞業績:本邦初大型恐竜全身骨格化石発見と恐竜の生態における研究
コメント:
私たちの研究活動を文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門) 受賞という形で評価していただき大変光栄です。これまで環太平洋地域の恐竜化石調査をもとに、恐竜から鳥類への進化解明や、アジアと米国間の恐竜の渡りや北極圏の恐竜の生態について研究してきました。2019年、カムイサウルス・ジャポニクス(通称:むかわ竜)の全身骨格化石の発掘・研究という、世界に誇れる恐竜研究の成果を北海道大学から発信することが出来ました。また、新聞社の「科学2019年10大ニュース」への選出、テレビでの特集番組の放映(NHKスペシャル等)、国立科学博物館で開催された展覧会の入場者数が過去最高を記録するなど、高い社会的・教育的貢献につながったことを嬉しく思います。カムイサウルスは、天皇皇后両陛下が2018年に来札された際にご覧になられ、天覧化石となり、また2020年の国際生物オリンピック金メダルのモチーフにも使用されています。今後も北大から新たな恐竜世界を描いていきたいと思っておりますので、皆さんご期待ください。
澤村 正也(さわむら まさや) 理学研究院 教授
受賞業績:遷移金属有機合成触媒の設計と不斉制御の研究
コメント:
この度は、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)をいただき光栄です。新しい化学反応の開発を通じ社会に貢献すべく長年行ってきた研究が、このような形で認められたことを大変嬉しく思います。一緒に研究し汗を流した共同研究者、切磋琢磨した仲間、暖かくご支援いただいた多くの方々に心より感謝申し上げます。資源の枯渇、増え続ける廃棄物、深刻化する感染症など、地球規模の諸問題に人類が立ち向かうためには、化学の力とその発展が不可欠です。このように今後益々重要となってゆく化学の役割を踏まえ、この北海道の地において、さらに研究と教育に邁進し、微力を尽くしたいと思います。ご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
若手科学者賞
跡部 発(あとべ ひらく) 理学研究院 准教授
受賞業績:p進古典群の表現についての研究
コメント:
この度は文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞させていただきまして、誠に光栄です。
これは、京都大学の先生方のご指導、北海道大学の先生方・職員の皆様のご支援、及び、共同研究者の尽力の賜物であり、心より感謝申し上げます。
ラングランズ予想とは、数学を統一するという壮大な思想であります。私は、ラングランズ予想の局所版の主役であるp-進群の表現論について、大学院生時代から研究を進めてまいりました。これまでの研究成果を最高の形で評価していただき、大変うれしい限りです。ラングランズ予想には、まだまだ多くの研究課題があります。今後とも研究に邁進してまいりますので、ご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。
鎌田 俊一(かまた しゅんいち) 理学研究院 准教授
受賞業績:固体天体の内部構造と進化に関する研究
コメント:
この度は、文部科学大臣表彰若手科学者賞を頂きまして、誠に光栄です。国内外の様々な研究機関に所属される多くの方々と共同で行ってきた研究がこのように評価されたことを、大変うれしく思っております。共同研究者の皆様や、本賞にご推薦してくださった日本惑星科学会を初め、関係者の皆様に御礼申し上げます。これからも引き続き、日本が主導・協力する複数の惑星探査ミッション(BepiColombo水星探査計画やJUICE木星系氷衛星探査計画など)に関連する研究に力を入れ、宇宙の謎を一つでも多く解明したいと考えております。今後ともご支援のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
中島 祐 (なかじま たすく) 先端生命科学研究院 准教授
受賞業績: 強靭ゲルの分子機構理解に基づく汎用化と機能化の研究
コメント:
この度、このような身に余る賞を頂き、大変光栄に思っております。本賞の受賞理由は「高強度ダブルネットワークゲルの強靭化機構の汎用化」および「本機構を材料内化学反応に展開することで得られた、筋肉のように成長する材料の創製」です。これらの成果は、研究室のグン剣萍教授、黒川孝幸教授をはじめとしたスタッフの方々のご指導・ご助言、また多くの素晴らしい学生のご協力により成し遂げられたものであり、これら関係の方々に深く御礼申し上げます。
今回の受賞を励みに、今後とも面白い高機能ソフト材料を、出来れば社会実装可能な形で提案していきたいと思っております。ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
古川 森也 (ふるかわ しんや) 触媒科学研究所 准教授
受賞業績: 合金反応場設計に基づく高効率触媒系の開発に関する研究
コメント:
この度は、名誉ある文部科学大臣表彰 若手科学者賞を頂き、誠に光栄に存じます。本研究を行うにあたりサポート頂いた学生諸氏、スタッフ、共同研究者の皆様、ならびに様々なご支援を賜りました諸機関に厚く御礼申し上げます。金属触媒の化学は、合金材料の多様化、先進化によりこれからもますます発展していくものと思っております。今後も本分野を牽引し、学問の進展と社会発展に貢献できるよう精進してまいります所存ですので、引き続きご指導、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。