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建築設計図が語る北大の歴史

情報基盤センター  文学研究科  村松 正隆

扉を開けたスパコン。上から電源・演算・水冷装置。

クラウドシステム。背後の小部屋には外気冷却方式の空調機が備えられている。

 情報基盤センターは、北大の情報環境整備という大切な仕事をこなす北大全構成員に関わる重要な施設であると同時に、その優れたサービスを北大だけでなく日本全国の研究者にも提供しています。この情報基盤センターが昨年11月に大きく進化しました。ここでは、これを機会に導入されたスーパーコンピューター(略称スパコン)とアカデミッククラウドを紹介しましょう。

 まずはスパコンからです。今回導入されたスパコンは、1秒間に172兆回の足し算と掛け算が可能です。あまりに大きな数ですので、ちょっと比較してみましょう。北海道大学の構成員2万人全員が休みなしで1秒間に1つずつ演算すると270年かかる計算を、このスパコンは1秒で済ませるのです(ちなみに筆者はこの計算に2分かかりました…)。

 膨大な計算を素早く行うスパコンは大規模数値シミュレーションに特に有効で、具体的には、環境、宇宙、構造・流体、バイオ、防災などの分野で威力を発揮するそうです。『リテラポプリ』でも紹介される計算機シミュレーションに基づいた研究成果は、こうしたシステムに支えられているのですね。このスパコンは、リーズナブルな利用負担金を納めることで利用できます。もちろん、使いこなすためにはトレーニングと努力が必要ですが。

 次にクラウドシステムについてです。情報基盤センターでは、やはり昨年の11月から、学外の人にも開かれた「北海道大学アカデミッククラウド」のサービスを開始しました。これは国内最大規模のもので、学外からも大きな注目を集めています。このサービスは、ファイルをネット上に保存する「ストレージ」やアプリケーションの提供に加えて、2000以上の仮想サーバの稼働を可能にしている点が特徴です。情報基盤センターに申し込めば、1台の物理的なコンピューターで何台ものコンピューターが働いているかのようなシステムが構築できるとのことで、一つの研究計画の度にコンピューターを買い揃える必要がなくなり、省エネにも大いに貢献します。ちなみに、これまでの最高では、1カ月間で500台の仮想サーバの利用を申し込んだ人がいたそうです。

 スパコンについて説明くださった大宮学さんとクラウドについて説明くださった棟朝雅晴さんが共に強調していらっしゃったのが、「とにかく使ってほしい!」ということです。あたりまえのことですが、素晴らしいものの〈よさ〉は、使えば使うほど、よくわかるものではないでしょうか。新しい〈道具〉の活用が、研究自身の内容の劇的な進化につながることもよくあります。まずはスパコンやクラウドサービスを理解し、新たな世界を拓くための道具として利用して欲しい、というのが、このシステムに関わる方々の共通の思いなのでしょう。

(むらまつ まさたか)

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