総合博物館 小林快次 教授を中心とする研究グループは、6月18日(火)に報道関係者向け説明会を行い、北海道むかわ町穂別で発掘された恐竜化石、通称「むかわ竜」について、新種の可能性が濃厚になったと発表しました。現在投稿中の学術誌への掲載が決まると「新種」として認定され、学名がつきます。
報道関係者向け説明会の様子
小林教授は、神経棘(しんけいきょく)と呼ばれる背骨の突起部分が大きく前に傾いていること、他のハドロサウルス科の恐竜に比べて頭部形状が前後に短く上下に高いこと、前脚がとても華奢であることなど、他の恐竜にはない固有の特徴が多くみられることから、むかわ竜は「新属新種の可能性が極めて高い」と説明しました。

また系統解析により、むかわ竜がハドロサウルス科のうちハドロサウルス亜科、その中でもエドモントサウルス類に属することが明らかとなったとしました。
さらに、後ろ足の骨の断面を分析した結果、成長停止線の数などから少なくとも9歳以上の大人であったこと(推定12~13歳)、上腕骨と大腿骨の太さから、耐重が2足歩行の場合およそ4トン、4足歩行の場合5.3トンと推定しました。

小林教授はむかわ竜発見の意義について、「日本の歴史上、ここまで完全な全身骨格化石が発見されたことはありませんでした。また、普通は恐竜化石を探さないような、海の地層から見つかりました。海の地層は日本全国にあるので、今後むかわ竜のような恐竜化石が、日本の他の地域でも発見される可能性が高くなったといえます。むかわ竜は、日本の恐竜研究を変えた発見であり、世界の研究者にも多くの情報発信ができる重要な化石です」 と語りました。

詳細は以下のプレスリリースと「いいね!Hokudai」にまとめられています。
■【プレスリリース】むかわ町穂別産"むかわ竜"の分類・ 年齢・体重の解明
(むかわ町穂別博物館)
■いいね!Hokudai
【クローズアップ】#104 むかわ竜、新属新種の可能性
動画制作:高等教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)早岡 英介、総務企画部広報課 学術国際広報担当 菊池 優
(総務企画部広報課 学術国際広報担当 川本真奈美)