大学院総合化学院が創設10周年記念事業を開催

化学に特化した理工融合の大学院「総合化学院」が、2月21日(金)に大学院総合化学院創設10周年記念事業として記念式典、研究発表会、及び記念祝賀会を開催しました。記念式典には、鈴木章 名誉教授(ユニバーシティプロフェッサー)をはじめとする来賓、教職員、学生など約170名の関係者が出席し、盛会のうちに終了しました。

大学院総合化学院は、化学の基礎的な側面の教育・研究を担う理学系化学と、実学としての側面に力点を置く工学系応用化学の融合を土台とし、学内外の研究機関との連携によって組織された「化学」に特化した大学院です。「化学及び関連分野で次世代のフロントランナーになれるトップクラスの研究者と技術者の育成」を教育目標に掲げ、2010年4月にスタートしました。創設の年に鈴木名誉教授がノーベル化学賞を受賞し、北大の「化学」は国際的にも強い印象を与えました。

フロンティア応用科学研究棟 鈴木章ホールにて行われた記念式典は、大学院総合化学院の村越敬 副学院長の司会のもと、武次徹也 学院長の開会の辞で幕を開けました。

開会の挨拶をする武次総合化学院長 開会の挨拶をする武次総合化学院長

つづいて、笠原正典 総長職務代理が「総合化学院は北海道大学の国際レベルでの研究、教育を牽引する役割を担っています。北大執行部としても大いに期待しており、今後もその活躍をバックアップしていきたいと考えております」と祝辞を述べました。

祝辞を述べる笠原総長職務代理 祝辞を述べる笠原総長職務代理

堀口健雄 大学院理学研究院長、瀬戸口剛 大学院工学研究院長からの祝辞につづき、橋本和仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)理事長から、「NIMSと総合化学院は、連携大学院に10名のNIMS研究員が参画するなど、長年にわたり連携してまいりました。今後も活発な研究交流を通じ世界的な研究が推進されるとともに多くの優秀な人材が育成されていくことを期待しております」とお祝いの言葉をいただきました(同機構 魚崎浩平 フェローによる代読)。

会場の様子。多くの学生、教職員らが参加しました 会場の様子。多くの学生、教職員らが参加しました

総合化学院の活動内容・成果報告では、かつて本学大学院理学研究院教授だったNIMSの魚崎フェローが、学内の議論を積み重ね、幾度かの改組を経て総合化学院創設にいたるまでの前史を詳細に解説しました。

総合化学院創設までの道のりを紹介する魚崎フェロー 総合化学院創設までの道のりを紹介する魚崎フェロー

また、大熊毅 大学院工学研究院教授が「フロンティア化学教育研究センター」、石森浩一郎 大学院理学研究院教授が「博士課程教育リーディングプログラム~物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム~」、前田理 大学院理学研究院教授が「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)~化学反応創成研究拠点(ICReDD)~」について、それぞれ大学院総合化学院が中心となって推進するプロジェクト等の活動報告をしました。

化学反応創成研究拠点(ICReDD)について活動報告する前田教授 化学反応創成研究拠点(ICReDD)について活動報告する前田教授

修了生を代表して挨拶した中川夏美さん(博士後期課程3年)は「総合化学院では、理学と工学、両方の視点からの講義を受けることができ、私のこれからに大いに役立つと確信しています。また、世界の第一線で活躍する研究者による講義『サマー・インスティテュート』や、国内外の研究機関へ学生を派遣する『ショートビジット(SV)』などに参加し、多様な学びと経験の機会を得ることが出来ました」と語りました。SVがきっかけとなり挑戦した「ダブル・ディグリー・プログラム」で、このたび北海道大学とモントリオール大学(カナダ)の2つの大学から学位が授与されることになったそうです。

修了生を代表して挨拶する中川さん 修了生を代表して挨拶する中川さん

最後に鈴木名誉教授(ユニバーシティプロフェッサー)は「私が勤めていた頃にも、北大の中の化学系を全て合わせて化学部のような組織をつくってはどうか、という声が上がったことがありました。しかしやはり部局の壁を越えることは難しく、その頃は実現することはできませんでした。それが時を経て、化学の全学的な教育研究組織が設立し、こうして10周年を迎えたことを大変喜ばしく思っております。ここにいる皆さんが、ますます良い仕事をされて、将来の化学の発展のために寄与していただければ、非常に嬉しいです」と学生達にエールを送りました。

総合化学院への期待を語る鈴木名誉教授(ユニバーシティ・プロフェッサー) 総合化学院への期待を語る鈴木名誉教授(ユニバーシティ・プロフェッサー)

記念式典に続いて、フロンティア応用科学研究棟ホワイエにて研究発表会、ファカルティハウス「エンレイソウ」にて祝賀会が行われ、大学院総合化学院の今後につながるような熱い議論が繰り広げられました。

研究発表会の様子 研究発表会の様子

社会に求められる人材の育成・研究開発に応じるように変革してきた北海道大学の化学。これからもますます発展していくことでしょう。

(文:総務企画部広報課 学術国際広報担当 川本 真奈美 写真:同担当 菊池 優)