文部科学省「令和5年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」受賞者からのコメント

4月7日(金)、文部科学省より科学技術に関する研究開発等において顕著な成果を収めた者に授与される「令和5年度文部科学大臣表彰」の受賞者が発表され、本学から「科学技術賞(研究部門)」1名、「若手科学者賞」5名の計6名が受賞しました。表彰式は19日(水)12時10分から文部科学省で執り行われ、科学技術賞の各部門、若手科学者賞、研究支援賞のそれぞれ代表者に表彰状が授与されます(後日映像をYouTubeで公開)。

それぞれの受賞者からのコメントをお届けします。

科学技術賞(研究部門)

西岡 純(にしおか じゅん) 低温科学研究所 教授

受賞業績:北太平洋の生物生産を支える鉄分の供給過程に関する研究

コメント:
この度は、名誉ある賞をいただくことになり大変光栄に存じます。今回受賞対象となった研究は、流氷で有名なオホーツク海が果たす地球規模の役割を海洋学的に明らかにした研究です。この研究は、私の所属する低温科学研究所・環オホーツク観測研究センターで長年にわたって実施されてきた研究で、数多くの国内外の研究者との共同研究および、当センターや低温研スタッフとの協働と絶大な支援があって成し得たものです。この受賞を機に、改めてこの研究に関わっていただいたすべての皆様にお礼申し上げます。また広大な海洋を理解するためには、すべての海をボーダレスに研究しなければなりません。オホーツク海の大部分はロシアの排他的経済水域にあたるため、受賞対象の研究ではロシアとの共同観測が欠かせませんでした。現在は国際情勢の悪化でロシアとの共同研究が難しい状況になってしまっています。今後、一刻も早く平和を取り戻し、再び世界の研究者が手を結んで海洋の神秘の探求に挑んでいける世の中になることを強く願っています。

研究室ウェブサイト:
低温科学研究所環オホーツク観測研究センター
西岡 純 研究室のページ

若手科学者賞

北島 正章(きたじま まさあき) 工学研究院 准教授

受賞業績:水環境からのウイルス検出に基づく分子疫学解析に関する研究

コメント:
この度は、このような栄誉ある賞を授与いただき大変光栄に存じます。受賞対象業績の「水環境からのウイルス検出に基づく分子疫学解析に関する研究」は、私が学生時代から継続して取り組んできた研究内容です。これまでご指導いただいた先生方、国内外の共同研究者の方々、学生の皆さん、そして私の研究を支えていただいている全ての皆様に心より感謝申し上げます。
新型コロナウイルスの流行開始以降、本研究は「下水疫学」として大きく進展し、学術的にも社会的にも注目を集めることになりました。今回の受賞を糧に、本分野の発展と成果の社会還元に貢献できるよう更に研究に邁進してく所存ですので、引き続きご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
水質変換工学研究室

李 响(り しゃん) 先端生命科学研究院 准教授

受賞業績:パーコレーション理論に基づく超均一ゲル開発に関する研究

コメント:
この度は文部科学大臣表彰若手科学者賞を頂き、大変光栄に思います。これまでご指導頂いた先生方、一緒に研究して下さった同僚や学生、そして支えて下さった家族に深く感謝を申し上げます。当該研究は量子ビーム散乱の視点からソフトマターを注意深く考察することで得られた内容で、異分野融合的な研究だと私は思っております。国内の研究環境が厳しい状況にあるのにも関わらず、気の赴くままに研究できる場所と時間を提供頂けていることに大変感謝しております。また、これまで共同研究を通じてご支援頂いた企業の皆様にも深くお礼申し上げます。今後も基礎学問の発展、そして社会への実装に向けて研究を進めて参ります。ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
Xiang Li Research Group

渡邉 友浩(わたなべともひろ) 低温科学研究所 助教

受賞業績:環境微生物ゲノムの潜在的な遺伝子資源の機能に関する研究

コメント:
この度は文部科学大臣表彰若手科学者賞をいただき身に余る光栄です。受賞理由は「環境微生物ゲノムの潜在的な遺伝子資源の機能に関する研究」です。一連の研究は北海道大学低温科学研究所・教授・福井 学 博士の研究室で、微生物の生態学的な研究としてはじまりました。そして、マックスプランク陸生微生物学研究所・グループリーダー・嶋 盛吾 博士の研究室で、環境微生物のユニークな酵素の生化学と構造生物学へと発展しました。この度の受賞は、ご指導いただいた全ての先生方、研究に関わった皆様そして家族のおかげです。心よりお礼申し上げます。今後も精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

研究室ウェブサイト:
低温科学研究所 微生物生態学分野

久保田 晋平(くぼた しんぺい) 遺伝子病制御研究所 特任講師

受賞業績:全身全細胞解析に資する組織透明化手法の研究

コメント:
このたび文部科学大臣表彰の若手科学者賞を受賞できたことを、大変光栄に思います。推薦していただいた日本薬理学会、そして上田泰己先生、宮園浩平先生、村上正晃先生をはじめとする多くの方々の温かいご指導やご支援があってこそだと深く感謝しています。
"全身全細胞解析"は医学や生物学の進歩に貢献する基盤技術ですが、工学、化学、情報学など、複数の分野を横断した共同研究により発展を遂げてきました。このような分野を担う一人として、自分の専門分野だけに固執せず、多くの方々との議論や共同研究を通じて、医学の進歩に貢献するために精進していきたいと考えています。
今後もご指導、ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
遺伝子病制御研究所 分子神経免疫学分野

常松 友美(つねまつ ともみ) 理学研究院 講師

受賞業績:睡眠覚醒制御機構と睡眠に伴う脳内動態に関する研究

コメント:
この度、文部科学大臣表彰若手科学者賞を頂戴し、大変光栄に思います。学部の頃より続けてきた睡眠研究を評価して頂き、嬉しい気持ちでいっぱいです。これもひとえに、これまで共に研究を行ってきてくれた皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、今後はさらに睡眠研究を発展させ、「なぜ、どのように夢を見るのか?」という問いの解明に向けて尽力したいと考えています。まだまだ至らない点も多いですが、引き続きご支援賜りますようよろしくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
理学研究院 生物科学部門 行動神経生物学分野 常松研究室