<写真>環境健康科学研究教育センターの展示ブース(撮影:社会共創部広報課 長尾 美歩)
北海道大学には12の学部と関連する大学院のほかにも、様々な教育研究組織があります。現在、北海道大学総合博物館では、夏季企画展「北大の探求心2024」が開催中で、その選りすぐりの研究成果を紹介しています。今回は第2期(8月20日(火)~9月29日(日)まで)の展示をご紹介いたします。
第2期の4つの展示のうちの1つ、環境健康科学研究教育センターのテーマは「環境と健康」です。北海道大学では2001年から、お母さんと赤ちゃん、そして出生後の子どもの環境と健康への影響を追跡調査する「北海道スタディ」を20年以上続けています。北海道スタディは、北海道の妊婦さん約2万人の協力を得て、室内の空気環境や、化学物質、電磁波、社会経済的な要因など、人を取り巻くさまざまな環境要因が、子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにする調査です。今回の展示では、その研究成果の一部が紹介されています。
展示では、室内でほこりやカビのたまりやすい場所を部屋の模型で表現して、どんなことに気を付けたらよいかを解説しています。また、ペットボトルや食品トレイなど、身近なものに含まれる化学物質の影響についても展示しています。
北海道スタディは、日本初の出生コホート(ある集団を一定期間追跡する)研究で、2011年に始まった全国規模の調査である環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のさきがけとなりました。展示を担当した同センター特任講師の伊藤真利子さんは、「最近では、子どもたちにとって身近な携帯電話などの安心・安全な利用に向けて、電磁波と健康との関連も調べています。でも結果は人によってまちまちで、長い期間追跡する必要があります」と、北海道スタディの意義について語ります。
また伊藤さんは、「私たちの研究テーマは身近なものばかりですが、追跡調査に何十年もかかる壮大なテーマで、研究に関わっている参加者もとても多いです。展示で調査に協力してくださった方々に成果を報告すると同時に、この展示を見た人が自分の身の回りの環境に関心をもってくれたらいいなと思っています」と話しました。
第2期の企画展ではこのほか、アイヌ・先住民研究センター、工学研究院、地震火山研究観測センターの展示も行われています。北大の最先端の教育・研究の成果をぜひご堪能ください。
【文:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 齋藤有香】
■令和6年度夏季企画展「北大の探求心2024」
開催日時:
第2期:2024年8月20日(火)~9月29日(日) /アイヌ・先住民研究センター、環境健康科学研究教育センター、工学研究院、地震火山研究観測センター
会場:
北海道大学総合博物館1階 企画展示室
札幌市北区北10条西8丁目