札幌キャンパスで酪農に触れる体験会「北大の農場で牛と牛乳を学ぼう」が開催

<写真>札幌キャンパスにある牛舎の様子(撮影:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 長谷川亜裕美)

札幌キャンパスで長年行われている資源循環型酪農の研究。放牧で育てる牛やそこでとれる牛乳について学んでもらおうと、子ども向けのキャンパスプログラムが札幌キャンパスの生物生産研究農場で開催されました。

酪農に触れるキャンパスプログラム「北大の農場で牛と牛乳を学ぼう」は、北大の教育や研究、フィールド資源等を身近に感じてもらう取り組みの一つで、北大の広報・社会連携本部 社会連携部門が協力し、農学研究院が開催しました。小学3年生から6年生の子どもとその保護者を対象に、資源循環型酪農を研究する農学研究院の三谷朋弘准教授がアテンドを務めました。

札幌農学校第2農場の一角にある模範家畜房(モデルバーン)札幌農学校第2農場の一角にある模範家畜房(モデルバーン)

9月23日(火・祝)、札幌キャンパスの北18条門近くにある札幌農学校第2農場に親子連れ約40名が集まりました。札幌農学校第2農場は、150年前の札幌農学校時代の農業や酪農の様子を知ることができる施設です。三谷さんは、「今は牛舎にも様々な設備が導入されていて、昔とは様子が全く異なります。けれど、『牛を育てて牛乳をしぼる』という過程は変わっていません。この場所から今に続く歴史があることを知ってほしくて、ここに集合してもらいました」と挨拶しました。

農学研究院の三谷准教授(左)、キャンパスプログラムのサポートを務めた農学部の学生(中央・右)農学研究院の三谷准教授(左)、キャンパスプログラムのサポートを務めた農学部の学生(中央・右)

札幌農学校第2農場を出発して向かった先は、北方生物圏フィールド科学センター 生物生産研究農場の牛舎です。

生物生産研究農場の牛舎へ向かう生物生産研究農場の牛舎へ向かう
牛舎の中の様子牛舎の中の様子

ずらりと牛が並ぶ牛舎で、三谷さんはある機械を紹介しました。真空の力で搾乳するミルカーと呼ばれる機器です。現在はこうした搾乳機を使うのが主流だといい、まずはミルカーでの搾乳を実演。ほんの数分で一頭から20kgものお乳がしぼられる様子を披露しました。

ミルカーに興味津々の参加者たちミルカーに興味津々の参加者たち
ミルカーによる搾乳の実演ミルカーによる搾乳の実演

そしていよいよ、子どもたちが楽しみにしていた乳しぼり体験です。三谷さんは自分の指を牛の乳首に見立て子どもたちに握らせながら、「根元をしっかり挟んでからしぼるんだよ」とコツを説明。大きな牛を前におっかなびっくり挑戦する子もいましたが、体験後は、「ぷにぷにしてておもしろかった」などたくさんの笑顔が見られました。一方で、「さっきの機械ではあんなにたくさんとれたのに、頑張ってしぼってもちょっとだけだった」「なかなかお乳が出なくて思ったよりも力がいると思った」と、手しぼりの大変さも実感した様子でした。

手しぼりのコツを説明する三谷准教授手しぼりのコツを説明する三谷准教授
乳しぼりに挑戦する子どもたち乳しぼりに挑戦する子どもたち

牛舎での体験後は、牛たちと一緒に放牧地へ移動しました。札幌キャンパスの牛は、牛舎の裏にある草地で育てられていて、春から初夏・秋は日中を屋外で過ごし、夏の暑い時期は気温が下がる夜間を外で過ごすそうです。三谷さんによると、市街地にある放牧地は非常に珍しく、札幌市内で牛を放牧している事例はほぼないといいます。「実際に牛に触って、いろんな草をとって何度も食べさせてみて、食べ方も観察してごらん」と三谷さんが声をかけると、子どもたちは地面に生える草を手にとり、牛へ駆け寄っていました。

札幌キャンパス内にある放牧地。左奥には札幌駅近くの高層マンションが見える札幌キャンパス内にある放牧地。左奥には札幌駅近くの高層マンションが見える
牛に草を食べさせようと試みる子どもたち牛に草を食べさせようと試みる子どもたち

放牧地では牛のフンも観察しました。牛が草を食べてフンをし、それが土の栄養になり、その土で育った草を牛が食べてお乳ができるというサイクルを説明した三谷さん。「僕たちは、こうした循環の中から牛乳をもらっているんです。こんな方法の酪農もあるということを知ってほしくて、今日のキャンパスプログラムを行いました」と、自身が行う資源循環型酪農について子どもたちに伝えました。

広い放牧地の北側には平成ポプラ並木が見える広い放牧地の北側には平成ポプラ並木が見える

昼食後、もう一つの目玉である「牛乳の飲み比べ」が行われました。3種類の牛乳を飲んで、札幌キャンパスの牛からとれた「北大牛乳」を当てるクイズです。「味だけじゃなく、色や匂いも観察してみて!」と三谷さん。

どれか一つが北大牛乳、当てられるかな?どれか一つが北大牛乳、当てられるかな?

家族で答えを一つを選び、その理由を順に回答します。北大牛乳を当てた皆さんからは、「草のような匂いがした」「色がほかより黄色っぽかった」などの声が上がりました。三谷さんは北大牛乳の特徴について、ベータカロテンが多いことで黄味を帯びているなど、色や匂い、味といった観点から解説しました。

プログラム終了後、小学6年の女の子は、「今日は牛乳の飲み比べが一番おもしろかったです。比べてみると意外と味が違っていて驚きました」と感想を話しました。小学4年の妹は、「乳しぼりが楽しかったです。生き物が好きなのでまたこういうイベントに参加してみたいです」と笑顔を見せました。

北大牛乳で作られたアイスクリームを楽しむ家族北大牛乳で作られたアイスクリームを楽しむ家族

牛に触れ、牛乳を味わい、札幌キャンパスで行われる酪農に触れたキャンパスプログラム。子どもたちが北大を身近に感じ、研究を知る機会になりました。

【文・写真:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 長谷川 亜裕美】