新・学際大規模計算機システムを公開 処理能力は前システムの20倍以上

北海道大学 情報基盤センターは, 2018年12月, スーパーコンピューティングシステムとクラウドシステムから構成される「学際大規模計算機システム」を更新し, 新システム「北海道大学ハイパフォーマンスインタークラウド」によるサービスを開始しました。スーパーコンピューティングシステムの処理能力は前システムの23倍向上し, 世界ランキング95位の性能を誇ります。全国の研究機関や企業も利用可能です。サービス開始に伴い今月10日に開催した記念式典と施設見学には, およそ50名が出席しました。

サーバ室前でのテープカットの様子 写真提供:富士通株式会社 浅野真史様サーバ室前でのテープカットの様子 写真提供:富士通株式会社 浅野真史様

スパコン主力機の愛称は「グランシャリオ」(フランス語で北斗七星の意:FUJITSU)スパコン主力機の愛称は「グランシャリオ」(フランス語で北斗七星の意:FUJITSU)

学術交流会館にて行われた記念式典では, 髙井昌彰 情報基盤センター長, 笠原正典 理事・副学長からの挨拶の後, 文部科学省 研究振興局 坂下鈴鹿 計算科学技術推進室長, 富士通株式会社 取締役会長 山本正已氏より祝辞をいただきました。続いて, スーパーコンピューティングシステムの設計に携わった岩下武史教授(情報基盤センター)と, クラウドシステムの設計に携わった棟朝雅晴教授(情報基盤センター)からシステムの概要について説明がありました。

記念式典の様子 記念式典の様子

  • 髙井センター長髙井センター長
  • 坂下室長坂下室長
  • 笠原理事・副学長笠原理事・副学長
  • 山本取締役会長山本取締役会長

式典後に情報基盤センターに移動し, テープカットと施設見学が行われました。最新技術を駆使した富士通株式会社製のスーパーコンピューティングシステムは, 主力機であるグランシャリオ(サブシステムA)と, 低消費電力性に優れたポレール(サブシステムB), 合わせて約1300台のPCサーバで構成されています。全体の演算性能は約4ペタフロップス, ストレージシステムの物理容量は16ペタバイトです。

スパコンについて解説する岩下教授スパコンについて解説する岩下教授

スパコン内部。北大独自のノード設計が採用されていますスパコン内部。北大独自のノード設計が採用されています

クラウドシステムは64台のPCサーバを学内に設置するのに加え, 関東, 関西, 九州の遠隔拠点にも計7台を設置しました。これらを学術情報ネットワークにより相互接続することで, 北海道から九州に至る全国規模の広域分散クラウドシステムを実現しました。また, 北見工業大学に研究データの長期保管可能なアーカイブシステムを設置することで, 災害時などにも十分対応できるようにしています。

クラウドについて説明する棟朝教授 クラウドについて説明する棟朝教授

冷却装置であるチラーは, より効率的に熱を冷やすため, 通常使われる空気ではなく水の力を利用しています。

水の力を利用した冷却装置水の力を利用した冷却装置

冷却装置について紹介する富士通ネットワークソリューションズ株式会社 柴田篤氏冷却装置について紹介する富士通ネットワークソリューションズ株式会社 柴田篤氏

「新システムの導入により, 第三の科学と呼ばれる自然科学, 工学の大規模シミュレーションのみならず, データサイエンス, ビックデータ, 人工知能などの第四, 第五の科学を含む幅広い研究分野の推進プラットフォームを提供します。それと同時に, 世界的なオープンサイエンスに向けた基盤を築いていけたら」と、髙井センター長は期待を膨らませます。学生や若手研究者も活用できるよう負担額のコストダウンにも注力し, 電気料金相当の金額での利用を実現しました。申請方法や, その他詳細事項は下記URLをご覧ください。

学際大規模計算機システム ホームページ:http://www.hucc.hokudai.ac.jp

(総務企画部広報課 研究広報担当 菊池優)