今回のACADEMIC FANTASISTAは, 「物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム(ALP)」を受講している北大生6名が, アウトリーチ演習の一環として公開講義を実施しました。高校生に向けたアウトリーチは今回がはじめてとのこと。前日まで講義プランを見直すなど, この日のために準備を進めてきたそうです。
ガイダンス
講義に参加するのは, 立命館慶祥高等学校の生徒15名。まずは, 講義の流れを説明しました。実験や茶話会など盛りだくさんの内容に, 高校生たちのワクワクが伝わってきます。
地味にスゴイ!絶対に汚れない表面~このアルミ, 濡れないので!~
撥水化コーティングしたアルミニウムの表面に, 水・牛乳・マヨネーズ・ソースなどを垂らし, それらが弾かれる様子を観察してもらいました。不思議な金属に, 高校生たちは大興奮。「弾かれた水滴が可愛らしい」という声もありました。
- 界面張力について説明する佐藤さん
- いろいろな液体を垂らして楽しむ生徒たち
超高強度ゲル
北大で開発された超高強度ゲル「ダブルネットワークゲル」について説明しました。このゲルは, 将来, 人工軟骨や人工腱への応用が期待されているそう。ダブルネットワークゲルを皆で触り, その強靭さを確かめました。
- ゲルの構造について解説する張さん
- 超高強度ゲル
「ダブルネットワークゲル」
⦅写真提供:いいね!Hokudai⦆
計算で化学反応を解析・予測する
理論化学研究室を見学してもらいました。ここでは実験は一切せず, すべてコンピューターで化学反応の解析・予測を行っているそうです。熱心にコンピューターに向かう学生たちの姿に, 高校生たちも興味津々でした。
- 研究室見学の様子
- 理論化学研究室のポスター
約5,000の分子構造で描かれています
茶話会
進路の相談や学生生活に関する質問など, 和気あいあいとコミュニケーションをとっていました。
- 終始にぎやかな様子でした
- 質問に笑顔でこたえる杉山さん⦅左⦆, 高橋さん⦅右⦆
発光性メカノクロミズム
こすることで発光色が変化する, 発光性の有機錯体を観察しました。高校生たちは、「強くこすると色の変化がわかりやすいね」「黄色からオレンジに変わった!」と, それぞれ感想を口にしながら実験していました。
- 実験の下準備の様子
- 色が変化する有機錯体を説明する小澤さん
受講した高校生からは, 「普段できないような実験ができて楽しかった」「また見学したいと強く思ったし, 北大生に憧れました」「難しい話でも分かりやすくて, とても面白かった」といった声がありました。講師役を務めた学生は, 「高校の化学とは直結しない内容もあり不安でしたが, 実験中には笑顔も見られるなど, 満足してもらえたようで安心しました。最先端の化学に少しでもワクワクし, 科学者の道に興味を抱いてくれれば幸いです」と話してくれました。高校生がどんなことに興味を持つかを考えた結果, 今回のような楽しみながら化学を体感してもらうオムニバス形式に辿りついたそうです。
一つ一つのレクチャーに個性があり, 教室移動から白衣に着替えてもらうタイミングまで全てがスムーズ。参加者への心配りも忘れませんでした。学生たちの素晴らしいチームワークで高校生を魅了する時間となりました。
北海道大学×立命館慶祥高等学校 ACADEMIC FANTASISTA
~自分の目で体感しよう!物質科学フロンティア~
日時:11月27日(火)14:30-16:30
会場:北海道大学 工学部 フロンティア応用科学研究棟
生徒:立命館慶祥高等学校 2年生15名
講師:小澤 友(総合化学院 総合化学専攻 有機元素化学研究室 M2)
高橋 里奈(総合化学院 総合化学専攻 有機元素化学研究室 M2)
佐藤 優樹(総合化学院 総合化学専攻 界面電子化学研究室 M2)
張 曄(生命科学院 生命科学専攻 ソフト&ウェットマター研究室 M2)
杉山 佳奈美(総合化学院 総合化学専攻 理論化学研究室 M2)
島尻 拓哉(総合化学院 総合化学専攻 有機化学第一研究室 M2)
ALP担当教員:
北原 圭(理学研究院 特任助教)
大津 珠子(理学研究院 特任准教授)
プログラム:
1. ガイダンス
2. 発光性メカノクロミズム(分子の合成)
3. 地味にスゴイ!絶対に汚れない表面~このアルミ, 濡れないので!~
4. 超高強度ゲル
5. 計算で化学反応を解析・予測する
6. 茶話会
7. 発光性メカノクロミズム(観察)
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アカウント名:@Hokkaido.univ.taiwa
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(総務企画部広報課 研究広報担当 菊池優)