「形と数とハーモニー」
札幌南高等学校にて、数学者の正宗 淳教授が講義しました。正宗教授はこれまで、日本、イタリア、イギリス、アメリカなど、様々な場所で研究をしてきました。3人の恩師とのエピソードを語り、出会いの大切さを伝えました。また、数学者に必要な素養として、前例にとらわれず新しい視点で数学に向き合うこと、常に好奇心を持つことなどを挙げました。

「では、実際に数学をやりましょう」と正宗教授。高校生たちは下記の問について、正宗教授が出すヒントを参考に答えを導き出しました。
問:囲まれる面積が一定で、周の長さが最短な図形は?
解:円
「皆さんは今、ある目的を達成するために効率がよい『形』を求めましたね。これは、『形状最適化』における古くから知られている問題です」。

最近では、形状最適化の理論を用いて、効率的に蓄電する未来のバッテリー構造がデザインされるなど、様々な取り組みが進められています。「今日では3Dプリンターの技術が発達し、数学が導くデザインをかなり再現できるようになりました。これからは、数学がイノベーションに一層貢献できる時代になることでしょう」。正宗教授自身も、他の数学者や工学者、企業の研究者と連携し、形状最適化理論の研究をしています。

<資料提供:矢地謙太郎(大阪大学)>
受講した高校生からは、「数学において大切な力は何なのかを知れてとても面白かったです」、「改めて数学がいたるところで使われているんだなあと思った」「数学でここまで技術を発展させられるのかと驚いた」などの感想がありました。
日 時:令和元年10月24日(木)15:15-16:05
会 場:北海道札幌南高等学校
参加者:1年生68名
(総務企画部広報課 学術国際広報担当 菊池優)