文部科学省「令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」受賞者からのコメント

4月8日(金)、文部科学省より科学技術に関する研究開発等において顕著な成果を収めた者に授与される「令和4年度文部科学大臣表彰」の受賞者が発表され、本学から「科学技術賞(研究部門)」1 名、「若手科学者賞」3名、「研究支援賞」4名の計8名が受賞しました。表彰式は、20日(水)1210分からオンラインで開催され、後日映像がYouTubeで公開される予定です。

リサーチタイムズでは、昨年度につづき、それぞれの受賞者からのコメントをお届けします。

科学技術賞(研究部門)

大野 宗一(おおの むねかず) 工学研究院 教授

受賞業績:数値シミュレーションによる金属材料の組織予測に関する研究

コメント:
この度は、文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門)を賜ることができ、大変嬉しく思います。金属材料の内部にはナノやマイクロメートルのスケールで結晶や元素分布からなる非一様な空間パターンが形成しており、それを材料組織と呼びます。合金の種類やその作り方によって材料組織は多様に変化し、その多様性が材料特性の多様性につながります。私はその材料組織を数理モデルと計算機シミュレーションで理解・予測する研究を進めてきました。今回、その研究成果に対して栄えある賞をいただけたことを大変光栄に思います。
共に受賞した京都工芸繊維大学・高木知弘教授、東京大学・澁田靖教授はもちろん、ご支援いただいた多くの方々に心より感謝申し上げます。これを励みに、私が専門とする計算材料科学分野のさらなる発展に貢献できるように、より一層精進して参ります。

研究室ウェブサイト:
工学研究院 組織制御学研究室

若手科学者賞

石垣 侑祐(いしがき ゆうすけ) 理学研究院 准教授

受賞業績:究極的共有結合の探求と機能創出に関する研究

コメント:
この度は、文部科学大臣表彰若手科学者賞をいただき大変光栄です。それと同時に、このような名誉ある賞をいただけることに驚きもあり、身の引き締まる思いです。
本賞の受賞理由は「究極的に伸長した共有結合を安定に保つ独自の設計指針の開発と世界記録の更新」及び「高度に歪んだ分子による構造及び物性の自在な制御」です。これらの研究成果は学生諸氏の日々の努力の賜物であり、鈴木孝紀教授をはじめとした研究室のスタッフ及び共同研究者の皆様、そして関係諸機関のご支援に心より感謝申し上げます。化学結合の一つである共有結合は、有機化学の基本である一方、まだまだ理解されていない部分が残されています。
本受賞を励みに、結合の新たな可能性を探究し、学問の深化、延いては持続可能な社会の実現に貢献できるよう微力を尽くす所存です。今後もご指導、ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
理学研究院 有機化学第一研究室
【動画】Unlocking Carbon's Mysteries / 炭素結合の謎を解き明かす

佐藤 博隆(さとう ひろたか) 工学研究院 准教授

受賞業績: 広エネルギー中性子応用工学による材料システムの超階層研究

コメント:
この度、名誉ある賞を受賞し、大変光栄に存じます。研究室の皆様をはじめとして、学内外の関係する全ての研究者・職員・学生の皆様のご協力により展開してきた研究活動が、高く評価されたことを大変嬉しく思うと同時に、関係の皆様に深く感謝を申し上げます。量子ビーム・放射線の原子力工学は、物質科学・生命科学・工業・農業・医療などを支える基盤であり、あらゆる分野と連携する魅力的な工学分野です。本学工学研究院には32 MeV電子線形加速器「北大LINAC」とそれを放射光源として駆動するパルス中性子源「HUNS」があり、中性子工学の基礎開発研究のみならず、自動車・金属材料・文化財の解析や、人工物・天然物に対する宇宙線の影響など、極めて多彩な科学研究や産学連携といった応用研究も行っています。まだまだ新たな面白い研究ができると思いますので、共同研究をご希望の方は是非お声がけください。これからもご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
工学研究院 中性子ビーム応用理工学研究室

乘本 裕明(のりもと ひろあき) 医学研究院 准教授

撮影:島田拓身

受賞業績: 睡眠の神経機構に関する研究

コメント:
この度は文部科学大臣表彰若手科学者賞を賜り大変光栄に存じます。今回の受賞はこれまでご指導頂いた先生方、切磋琢磨した同僚や学生、そしてそれを支えて下さった技術補佐員や事務員の皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。
睡眠研究は生命の理解へと繋がるだけでなく、人々の健康や病気の治療に貢献できる可能性が高いので、とてもやりがいがあります。若手研究者に限らず、日本の研究環境がどんどん厳しくなる中で、やりたい研究を継続させて頂けていることに感謝しています。今後も学問の発展に貢献できるよう精進してまいりますので、ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

研究室ウェブサイト:
医学研究院 細胞薬理学教室

研究支援賞

中村 晃輔(なかむら こうすけ) 理学研究院 技術専門職員
武井 将志(たけい まさし)   電子科学研究所 技術専門職員
佐々木 隆太(ささき りゅうた) 創成研究機構 特任助教
女池 竜二(めいけ たつじ)   理学研究院 技術専門員

左から女池さん、中村さん、武井さん、佐々木さん 左から女池さん、中村さん、武井さん、佐々木さん

受賞業績:大学技術職員の人材育成モデル創出と最先端研究への技術貢献

コメント:
この度は文部科学大臣表彰・研究支援賞を賜り、誠に光栄です。今回の受賞業績となった試作ソリューション事業は、日本軽金属株式会社との産学連携事業として、創成研究機構グローバルファシリティセンターを中心に、大学技術職員の新しい挑戦と位置付けて取り組んで参りました。お力添えを頂いた日本軽金属株式会社の関係者の皆様をはじめ、支えてくださった皆様に、心から感謝申し上げます。
私たち技術職員が部局の枠を越えて協働しながら積極的に学外に技術提供することは、新たな発見と刺激がありました。この取組みを通して、各々の技術力やモチベーションを向上させ、さらには得られた外部資金と連携力で本学の研究教育支援体制を強化・充実させることで最先端研究に貢献するという好循環を確立させることができました。今回の受賞を励みに、益々、本学の研究教育環境の充実に邁進してまいりますので、引き続き、ご期待とご支援の程よろしくお願い申し上げます。

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