【動画公開】水産学部附属練習船「うしお丸」の命名・進水式を実施

<写真>命名・進水式当日のうしお丸(新潟造船株式会社にて)(撮影:広報課 Aprilia Agatha Gunawan)

330日、北海道大学水産学部(函館市)の練習船「うしお丸」の命名・進水式が新潟県の新潟造船株式会社で行われました。北海道大学は現在、「うしお丸」と「おしょろ丸」の2隻の練習船を所有しており、調査研究や学生実習に活用しています。

北海道大学水産学部附属練習船「うしお丸三世」命名・進水式

初代うしお丸は、1971年に、総トン数97.7トン、定員12名の船として建造され、潜水調査艇「くろしお号」の母船として漁業調査、研究、実習に使用されました。1981年には居住区の改善や耐航性能の確保、海洋観測機器類の充実を図るために船体延長工事を受け、総トン数107.8トン、定員16名に大型化されました。

うしお丸1世(左)とうしお丸2世(提供:水産学部)

うしお丸2世は、1992年に、総トン数128トン、定員19名の本格的漁業調査船として建造されました。2002年には練習船「北星丸」の廃船に伴い、船体延長工事を受け、全長39.39メートル、総トン数179トン、定員33名へと大型化し、名称を練習船に変更し、現在まで活躍してきました。

今回建造中のうしお丸3世は、2世の老朽化に伴う代船です。定員は33名のままですが、全長は約45メートル、総トン数約260トンの規模を誇り、最新の調査設備や快適な居住環境が備えられる予定です。

命名・進水式では、本船が北海道大学 寳金清博 総長により「うしお丸」と命名され、その後、セレモニーと乗船見学会が行われました。

「うしお丸」と命名する寳金清博 総長 (撮影: 当時・広報課/現・函館キャンパス事務部 江澤 海)

式典に参加した水産科学研究院 教授の髙津哲也さんは、「嬉しいの一言です。船が大きくなり揺れも少なく、速度も少し上がりますので、調査研究がより効率的に行えるようになります。私は、北海道周辺の底魚の資源変動を研究していますが、魚種ごとに変動の仕組みは違いますので、研究課題はまだ幾らでも残っています。自分の世代だけではできませんが、学生と一緒に食料増産に繋がる技術を開発していきたいと思います」と語りました。

左から水産科学研究院 高津哲也 教授、木村暢夫 教授、向井 徹 教授

練習船運営委員長を務める水産科学研究院 教授 向井 徹さんは、「感無量です。30年に一度の造船に立ち会えて大変嬉しいです。私は水中音響を専門にしていますが、今回のうしお丸は小型船ながらも国際水準の基準に則ったノイズの少ない船です。また、最新の調査機器を搭載する点や、女子学生の利用も念頭に、居住環境に配慮したつくりになっていることも大きな特徴です。「海を豊かに」「飢餓をなくす」といったSDGsの目標に貢献できる船ですので、特にそういった面で社会貢献ができる学生を育てていきたいと考えています」と話します。

水産科学研究院長(当時)の木村暢夫さんは、「温暖化で海洋環境の変動が激しくなる中、今回のうしお丸は船速が上がり、より広い海域を調査できるようになります。北大がSDGsに力を入れる中、水産資源の持続性の確立に研究を通じて貢献できるのは重要なことです」とコメントしました。「北大水産学部は2隻の練習船、「おしょろ丸」と「うしお丸」を抱えることで、大型実習から調査研究、沿岸域から外洋航海までと、幅広く対応することができます。この2隻体制で、海洋変動の調査、海洋環境の調査、そして海洋が与える地球環境の問題までも含めて調査ができますので、関心のある方は是非水産学部に進学して頂きたいと思います。」

うしお丸3世は、今後機材の積み込みや内装を経て、夏頃に竣工し、水産学部のある函館に移動して実習や調査研究に活躍する予定です。

命名・進水式の参加者(撮影: 当時・広報課/現・函館キャンパス事務部 江澤 海)

(国際連携機構/広報室 南波直樹)