「緑の少年団交流大会 in 北海道」が北海道大学で初開催

〈写真〉講義中、年輪を数える子どもたち(撮影:広報・コミュニケーション部門 長谷川 亜裕美)

7月28日、29日の2日間「緑の少年団交流大会 in 北海道」が北海道大学植物園と札幌キャンパスで行われました。緑の少年団は、植林など緑に親しむ活動を通じて心豊かな人間性を育むことを目的とした団体で、全国に拠点があります。その交流大会が毎年北海道で行われていて、今年は初めて北海道大学で実施されました。

今年の交流大会には道内外から小中高生19名が集まり、最も遠いところでは鹿児島からの参加がありました。交流大会を主催した北海道森と緑の会 山谷吉宏理事長は、北大での開催について「子どもたちは普段、自分が所属する団で森や木に関わる活動をしています。いま自分たちがやっていることを、この先大学で更に勉強できると知ってもらい、将来目指すものを見つけるきっかけになってくれたら」と話します。

初日の28日、札幌に集合した参加者たちは、開会式やオリエンテーションを行った後、北海道大学植物園を訪れ園内を見学しました。

植物園を見学する参加者たち(提供:北海道森と緑の会)植物園を見学する参加者たち(提供:北海道森と緑の会)

2日目は、朝から札幌キャンパスを訪問。この日は「緑の少年団 子ども大学」と称し、農学部の一室で北大の教員による講義が行われました。担当したのは、北方生物圏フィールド科学センター教授 中路達郎さんです。樹木生理生態学を専門とする中路さんは、森が私たちの生活に重要な存在であること、そして、それをどう守り育てるかについて解説。北海道の森は、針葉樹と広葉樹が自然に入り混じった混交林であると説明し、実際に切り株を使って講義を行いました。切り株の重さを比べたり、年輪の違いを観察した参加者たち。中路さんは、年輪の様子から木が育った環境の違いがわかると話し、間伐によって木々の成長を促すことでより早く森をつくる仕組みを説明しました。

切り株を手に講義を行う中路教授(撮影:広報・コミュニケーション部門 川本 真奈美)切り株を手に講義を行う中路教授(撮影:広報・コミュニケーション部門 川本 真奈美)
みんなで確認し合いながら根気強く年輪を数える子どもたち(撮影:川本 真奈美)みんなで確認し合いながら根気強く年輪を数える子どもたち(撮影:川本 真奈美)

その後、地球環境科学研究院の講義室へ移動した一行は、カーボンクエストに挑戦。カーボンクエストとは、自分が炭素になって地球を巡るすごろく方式のゲームを通じて、炭素の動きを知って環境問題を学ぶ学習プログラムです。

ワークシートを囲むこどもたち(撮影:川本 真奈美)ワークシートを囲むこどもたち(撮影:川本 真奈美)

クエストは、"大昔版"と"現代版"の2種類があります。炭素になった子どもたちは、サイコロの目に従い、「大気」や「植物」「海」などのステーションを巡り、スタンプを収集。スタンプ集めの道筋をワークシートに書き込むことで、地球上で炭素がどのように循環するか、さらに昔と現代では循環にどのような違いがあるかを学んでいました。現代版クエストでは、大気ステーションから抜け出せなくなった子どもたちで行列ができ、そこから、実際の世界で大気中に二酸化炭素が増えている現状に気付く姿もありました。

スタンプ集めの道筋をワークシートに書きこむと炭素循環が見えてくる(撮影:長谷川 亜裕美)スタンプ集めの道筋をワークシートに書きこむと炭素循環が見えてくる(撮影:長谷川 亜裕美)

カーボンクエストは、北大発認定スタートアップ企業の合同会社エゾリンクが行いました。エゾリンクのメンバーは、全員が博士課程を修了した「ポスドク」です。エゾリンクによると、ポスドクたちは活躍の機会が限られている実状があるといいます。彼らの能力を社会に結びつける場として、エゾリンクは活動しています。

カーボンクエストを行ったエゾリンクのメンバー(撮影:川本 真奈美)カーボンクエストを行ったエゾリンクのメンバー(撮影:川本 真奈美)

交流大会後、東京から参加した高校1年生の女の子は「私たちも山で間伐をするときに年輪を数えているので、今日の講義は興味深かったです。広葉樹と針葉樹の違いはあまり理解していなかったので、重さや成長の仕方に違いがあることを学べてよかったです。将来に向けていろいろな大学を見たいと思っていたので、今回北大に来ることができてすごく嬉しい。たくさん勉強して北大を目指したいです」と話してくれました。

中路教授(左)、東京から参加したメンバーと引率の先生(中央4名)、エゾリンク 安東代表(右)(撮影:川本 真奈美)中路教授(左)、東京から参加したメンバーと引率の先生(中央4名)、エゾリンク 安東代表(右)(撮影:川本 真奈美)

あいにくの雨で、札幌研究林で予定されていたツリーイングは中止となってしまいましたが、こどもたちは大学生の気分を味わいながら、楽しんで学び、交流を深めていました。

【広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 長谷川 亜裕美】