地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)キックオフシンポジウムを開催

<写真>シンポジウムに登壇する瀬戸口剛理事・副学長(撮影:広報・コミュニケーション部門 川本 真奈美)

2024年7月25日、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)キックオフシンポジウムが札幌キャンパスにあるクラーク会館で行われました。ハイブリッド形式で行われたこのシンポジウムには、北大関係者をはじめ、企業や他大学など学外からも参加があり、会場とオンライン合わせて500名以上が集まりました。

J-PEAKSは、文部科学省が手掛ける事業です。地域の中核となる大学や特定分野に強みを持つ大学を対象に、研究力強化を図る環境整備を支援することで、日本全体の研究力の発展を牽引する研究大学群を形作ることを目指しています。大学は、その強みや特色を核とした戦略的経営をおこない、他大学と連携しながら、研究活動の国際展開や社会実装を推進することが求められます。北大はこの事業に「フィールドサイエンスを基盤とした地球環境を再生する新たな持続的食料生産システムの構築と展開」を提案し、採択されました。

挨拶する寳金総長(撮影:広報・コミュニケーション部門 斎藤 有香)

シンポジウムでは、はじめに寳金清博北海道大学総長が挨拶し、本事業に採択された12校の1つとして取り組んでいく決意と、「その中でもリードして注目されるような立場で進めていきたい」と意気込みを語りました。続く来賓挨拶では、鈴木直道北海道知事(北海道総合政策部 大矢邦博氏が代読)が、この事業の取組みにより北海道の生産力がさらに高められ、世界における北海道のプレゼンスが向上することに期待を寄せました。さらに、北海道経済連合会 藤井裕会長、総合科学技術・イノベーション会議 上山隆大議員、文部科学省科学技術・学術政策局産業連携・地域振興課 池田一郎課長からそれぞれ挨拶がありました。

続く概要説明では、瀬戸口剛理事・副学長により、本事業における北大の取り組みが説明されました。

取組概要を説明する瀬戸口理事(撮影:斎藤 有香)

採択された提案にある「地球環境を再生する新たな持続的食料生産システム」は、「リジェネラティブ(環境再生促進型)」という言葉で表現されます。北大は、その強みであるフィールドサイエンス、特に農水産業の分野において、リジェネラティブな持続的食料生産システムの研究をこの事業で推進する計画です。研究を通し、生産過程における環境へのダメージを抑えるだけではなく、環境の修復につながる生産システムの構築を目指します。

この事業では、研究を育てる体制づくりも重視されています。北大は、これまでも大学強化推進事業に取り組んできましたが、今回新たに、トップダウンで融合研究領域を創発・育成するシステムを導入します。この新しい体制の下、北大の強みとなる研究を選抜して育てる計画で、全学の研究テーマが対象となります。今後は、この事業で構築する新体制の中で、特色ある研究を育て、大学の存在価値を示していく考えです。

本事業における北大の取り組み概要を説明した瀬戸口剛理事・副学長は、その中で、北大にある18の部局、14の研究組織、そして4つの教育組織から注力すべき研究を選んでいくとし、「リジェネラティブな持続的食料生産システム研究を核にしながら、第一弾の取り組みとして、北大全学で研究力を高めていく仕組みをつくっていきます」と話しました。

パネルディスカッションではリアルタイムグラフィックレコーディングが行われ、パネリストたちの意見がみるみるイラスト化された(撮影:斎藤 有香)
リアルタイムグラフィックレコーディングで描かれたイラスト(撮影:川本 真奈美)

シンポジウムでは、フィールドサイエンス分野から4名の研究者による研究紹介が行われたほか、「ありたい未来の食料生産システムの実現に向けて」をテーマにパネルディスカッションが行われました。ディスカッションには、酪農や水産業、行政、企業など様々な立場のパネリストが参加。未来の農水産業に対する多様な意見が交わされました。

北大が持つフィールドは、北海道の面積のおよそ1%を占めるといいます。その広大なフィールドを最大限に生かし、持続可能な社会の実現に貢献する取り組みが期待されます。

【広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 長谷川 亜裕美】

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