12月5日(金)、旭川東高校にて、3名の研究者が出張講義を実施しました。高校から当日の講義レポートが届きましたのでご紹介します。
「顕微鏡でみる、ミクロな水中の世界」低温科学研究所 教授 木村勇気
講義では、「水は何度で凍るのか?」という問いから、水と氷の境界では何が起こっているのかを考えるために、過冷却水を用いた実験が行われました。身近な現象を科学的な視点で見直す面白さを体感できました。また、これまで当たり前に考えていたことが覆され、常識を疑う重要性を実感する講義でした。水と氷の世界に生まれる様々な疑問に対し、それを解き明かすために電子顕微鏡を用いて迫っていく様子を動画とともに分かりやすく解説されました。研究が宇宙の分野、医療の分野にまでつながっていくことも紹介されました。受講した生徒からは、「授業で学んだ過冷却について実験でその瞬間を確かめることができて理解が深まった」、「無重力での実験に興味を持った。太陽系誕生にもつながる話にワクワクした」、「科学者は現象が起こったときに疑問点を見つける力、観察力が重要なことを学んだ」という声が寄せられました。
動画や実験で講義を進める木村教授「イスラームとスペイン」文学研究院 教授 佐藤健太郎
佐藤先生は、過去の人々が残した文献で歴史を知ることができるというテーマで解説してくれました。かつてスペインにはイスラームの王朝があり、今でも世界遺産となっているモスクや宮殿などの遺跡が多数あります。イスラーム教の信仰は認められていましたが、反乱がきっかけで信仰が禁止され、同化政策を経て、最終的にはスペインから30万人ほどのイスラーム教徒の末裔が追放された歴史について解説してくれました。改宗により太陰暦が使用できなくなり、自分たちの文化を残すために毎月新月を観測しなければならなくなったなど、当時の人々の暮らしを、残された文献や個人の日記などを見せながら解説してくれました。生徒からは、「スペインにイスラーム教徒がいたことは知っていたが、キリスト教へ改宗される人々の生活について、生々しく知ることができた」、「何百年も以前の人々の日記に記されていたものは、歴史的な大きな出来事についての主観を交えた描写で、とても興味深かった」などの感想が聞かれ、講義後も熱心に先生へ質問する姿も見られました。
残された文献などをスライドで紹介しながら解説する佐藤教授「陽子線治療―医学×工学でがんに挑む」工学研究院 准教授 高尾聖心
放射線治療といえばX線が有名ですが、今回のテーマは陽子線治療ということで、高尾先生から分かりやすく解説していただきました。X線が様々な角度から体の表面に多く当てて照射するのに対し、陽子線は体の深いところにエネルギーを集中的に当てることができるので、正常な組織を避けて必要な箇所に集中することができる、現在注目されている治療法と説明されました。陽子線治療には大規模な機械が必要であり、医学物理士は、放射線治療に携わっていると説明してくれました。生徒からは、「医学と工学はあまり関係のない分野と思っていたが、密接に係わっていて驚いた」、「陽子線の特性によってエネルギーをがんに集中させることができると分かった」、「文系なので知らないことばかりだったが、通常では知ることのできないことを学べて新鮮だったし、発見でいっぱいだった」など、感動した生徒もいて大変好評でした。
画像を見せながら説明する高尾准教授日時:2025年12月5日(金)13:20-15:10
会場: 旭川東高等学校
参加生徒:1年生 計60名
(広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)
アカデミックファンタジスタとは?
北海道大学の研究者が知の最前線を出張講義や現場体験を通して高校生などに伝える事業、「アカデミックファンタジスタ(ACADEMIC FANTASISTA)」。内閣府が推進する「国民との科学・技術対話」の一環として、北海道新聞社の協力のもと2012年から継続的に実施しています。今年度は北海道の高校等を対象に31名の教員が講義を実施しています。2025年度の参加教員はこちら。
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