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建築設計図が語る北大の歴史

もういちど北大と出会う その25 世界に誇れる美しくサスティナブルなキャンパスに 矢部 輝雄 施設部長

都市型キャンパスの再開発(筑波大学文京キャンパス)

再開発に当たり既存の樹木は一本も切らずキャンパス全体に数千本の追加植樹をして景観と都市環境を改善

我が国初の海外研究施設(国立天文台すばる研究施設)

ヒロキャンパスの敷地全体を緑と花でカバーして環境と景観を保護

 本年4月、施設部長として約30年ぶりに北大に戻ってきました。

 北大には1974年4月から1978年3月まで工学部建築工学科の学生として4年間学ばせていただきました。私は新潟生まれですが、北大で学びたいと思ったのは、1972年の札幌冬季オリンピック開催で北海道と札幌の美しさを知ったからでした。入学後、豊かな自然(特に冬のパウダースノーと夏の澄んだ星空)、整然とした街並みに加え、札幌市民の道外出身者、北大生に対する温かさにいろいろな局面で感激しましたが、そのホスピタリティの高さはオリンピックで磨きがかかって今日に至っているのではないかと思います。

 建築工学科では地震国である我国の建築物の耐震安全性の向上に貢献できるエンジニアになりたいと思い構造関係を専攻しました。

 1978年からの施設部での勤務後、1983年から文部省に移り、学校施設の防災対策や耐震性能向上のための設計指針作りや新しい大学施設建設に携わった後、我国で初めての国立の研究施設を海外で建設する国立天文台のすばる望遠鏡施設整備プロジェクトの施設担当として1996年から1998年まで国立天文台に勤務しました。

 すばるプロジェクトはアメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島の標高4200mのマウナケア山頂に光学式望遠鏡施設を建設し、さらに山麓のハワイ州立大学ヒロ校リサーチパーク内(と言っても溶岩地盤上の原生林)を開発して大学共同利用の研究施設を建設するものでした。

 地震対策、ハンデキャップ対策なども網羅したハワイ州のビルディングコード、ハワイ州立大学の土地利用や色彩規制など現地の環境・植生・気候風土との調和を重視する厳しい環境保護コードに適合させながらの作業となりました。その過程で、背景にある考え方(環境への負荷をいかに軽減させるか、開発と自然環境の保護をいかに調和させるか)を理解することができたのは、その後、私自身の大学施設整備にあたって、取り組む姿勢を再確認する上で貴重な経験でした。

 その後、金沢大学を経て、筑波大学で本年3月まで勤務いたしました。金沢大学では市郊外240haの敷地へのリロケーションプロジェクト、筑波大学ではつくば研究学園都市内の約250haの敷地に約40年前にエネルギー資源の制約などあまり考慮せず、短期間に大量に建設された施設が一斉にリニューアルの時期を迎えている課題をどう解決し、教育・研究の基盤を再活性させるかという仕事を担当してきました。この間いつも、母校北大のキャンパスのように50年後、百年後に世界に誇れる自然と調和した美しいキャンパスを形成することを意識していたような気がします。

 北大に再び戻ってきて、大学院に重点を置く基幹総合大学である母校の教育、研究、診療等の活動を支える基盤としてのキャンパス施設環境を美しく安全でサスティナブルなものとするために最大限の貢献をしたいと考えています。

(やべ てるお)

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