医学や科学技術は急速に進歩・発展し、医療の高度化や細分化が進んでいるとともに、使用する治療機器は複雑になってきています。さらに遠隔治療システムなど新たな医療のありかたが続々と登場しています。一方で、人びとの健康に関する意識は高まり、高度な医療への関心も寄せられるようになってきています。障がい者や要介護者へのケアといった分野もますます重要度を増していくことでしょう。
これらのことを背景にして、医療・健康の分野では高い知識と専門性を備えた人材が今以上に求められるようになるでしょう。北海道大学医学部保健学科では、医療の現場ではもちろんのこと、日常生活においてもよりよい健康状態を保てるよう健康全般にわたって人びとを支援する看護師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床検査技師など、医療分野において専門性の高い人材を育成しています。

- 人びとが、健康状態を保ち、生命力を高め、持てる力を十分に発揮できるよう援助することを、科学的に探究します。
- 健康を維持するためのニーズは多様化し、高齢化社会の到来や生活習慣の変化にともなって、看護が必要とされる場面が増えています。このような期待に応えることができる高度な看護を行う技術、柔軟な判断力と思考力、倫理的な判断、科学的な根拠に基づく実践能力を身につけた看護師を養成しています。

- 電離放射線・電磁波・音波などを利用して、からだの内部の様子を調べたり治療したりする技術を身につけます。
- X線装置やCT(コンピュータ断層撮影)、MRI(核磁気共鳴画像法)などを駆使して診断に必要な生体の情報を得ることは、高度な医療には欠かせないプロセスです。これらの機器を扱うにあたっては、理工学ならびに医学の素養を身につけていることが求められます。放射線技術科学専攻では、放射線をはじめとする各種の物理的エネルギーの伝搬を理解し、医療装置の原理やしくみ、医療画像に関する造詣を備えた、診断や治療に貢献することができる専門家を養成します。

- 病気の診断、治療、予防に役立つ医学的な情報を検出するほか、検出方法や分析結果の研究を行います。
- 検査には、血液や尿、細胞や組織などの検体検査、エコーや脳波などの生体検査のほか、超音波装置などを用いた内臓の輪郭や病変の可視化、病原性微生物の種類や性質の解析など、高度な先進医療を行うために必要な検査も数多くあります。これらの検査や分析の技能を身につけ、からだの状態を的確に把握して治療に生かすのが、検査技術科学です。医療分野だけでなく環境調査、健康食品の管理など幅広い分野で活躍できる検査技術科学の専門家を育てます。

- 障がいやからだの機能の低下のある人が、社会生活に適応できるよう機能を回復することを目指します。
- 発達障がいや疾病、外傷、また加齢などにより身体障がいをもっていたり、からだの機能が低下した人に対して、運動療法や物理療法を通じて治療訓練を行うのが理学療法です。まずは、関節可動域検査や筋力の測定を行って動作分析などによってからだの状態を的確に知り、問題点を明らかにし、基礎となる機能を回復、さらには機能の維持や悪化の防止につなげ、質の高い生活を目指すための援助をする技能を身につけます。

- こころやからだに障がいを持つ人が、「作業」を通じてその人らしい生活を送れるよう、また、生活の満足度を高めることができるよう援助をします。
- 手芸、陶芸、籐工芸、木工、七宝焼き、革工芸など仕事やあそびにおける作業を、治療という立場から行います。これにより精神や身体に障がいを持つ人が、自らが持つ力を最大限に発揮し、自分らしく生きることができるように導くのが作業療法です。子どもからお年寄りまで、生活に障害のあるすべての人が対象となるので、運動学、生理学、人間発達学などを幅広く学び専門性に生かします。