12月9日(月)、釧路湖陵高校にて、出張講義を実施しました。当日の講義レポートが届きましたのでご紹介します。
「環境と健康のデータサイエンス」環境健康科学研究教育センター 特任講師 田村菜穂美
データから人々の健康を読み解く「疫学」という学問に携わる田村さんは、病気の発生や広がりを個人の問題として見るのではなく、集団全体の傾向として分析し研究しています。喫煙による影響を調べるため、妊婦の血液中のコチニン量と、在胎期間に比べて体重が小さい新生児(SGA児)の数のグラフから、受動喫煙や能動喫煙が新生児の健康に影響を与える可能性があることを説明しました。また、妊娠前の体格指数(BMI)とSGA児の数のグラフからは、痩せている妊婦は標準体重の妊婦よりSGA児を出産する確率が約1.79倍高いことがわかり、妊娠前の栄養状態が赤ちゃんの成長に影響を与える可能性について解説しました。講義の後半では、環境と子どもの健康に関する「北海道スタディ」という調査と、子どもの健康と環境に関する「エコチル調査」という全国調査を行い、胎児期から子どもの健康状態を追跡して研究していると話しました。

生徒たちからは、「ジョン・スノウによるコレラ原因追跡のデータ分析の話が印象に残り、データの質のチェックリストを見て、改めてデータの質の重要性について理解を深めた」とか「実際に因果グラフ作成の体験を通して知的好奇心が刺激されて、より探求に興味を持つことができた」などの感想が寄せられました。
日 時:2024年12月9日(月)13:25~15:05
会 場:北海道釧路湖陵高等学校
参加生徒:1年生 約200名
(広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)
アカデミックファンタジスタとは?
北海道大学の研究者が知の最前線を出張講義や現場体験を通して高校生などに伝える事業、「アカデミックファンタジスタ(Academic Fantasista)」。内閣府が推進する「国民との科学・技術対話」の一環として、北海道新聞社の協力のもと2012年から継続的に実施しています。今年度は北海道の高校等を対象に29名の教員が講義を実施しています。2024年度の参加教員はこちら。
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