【Academic Fantasista 2022】札幌日本大学高校にて4名の研究者が講義を実施

2月22日(水)札幌日本大学高校にて、4名の研究者が講義を行いました。

「放射線・放射能の科学」工学研究院 教授 小崎 完

放射線の性質や原子力エネルギーの大きさについて、ゴジラの食事などに例えながら分かりやすく解説しました。また、北大から放射線検出器を持参し、生徒たちに塩や昆布の中に含まれる天然の放射性物質の放射線を計測してもらいました。さらに、小崎さんたちが取り組む福島第一原子力発電所の廃炉や、放射性廃棄物の処理・処分に関する研究例を紹介しました。生徒からは「身近な内容で分かりやすかった。最後まで楽しく講義を受けることが出来た」「放射線を実際に測るなど、体験ができて面白かった」等の声が寄せられました。

放射線について解説する小崎教授放射線について解説する小崎教授

 

「漸化式を使って様々な現象を数式にしてみよう」電子科学研究所附属社会創造数学研究センター 教授 長山 雅晴

様々な現象を、理論的に理解するために数式で表現する「数理モデリング」について研究している長山さん。最近では、糖尿病の未病を理解するために血糖値の変化を数式にしているといいます。講義では、メトロノームや、ろうそくの炎の同期現象について、数理モデルから新たな現象を発見した事例について実験動画を交えながら紹介しました。また、感染症流行モデルや基本再生産数などニュースで良く耳にした内容についても解説しました。生徒からは「数学が他の分野とどのようにつながっているかを知ることができた」「身近な自然現象を数式で表せることが、とても新鮮で興味深いと思った。応用数学にとても興味を持った」との声が寄せられ、生徒たちの数学への関心が強まる授業となりました。

数理モデルについて解説する長山教授数理モデルについて解説する長山教授

 

「いま学ぶアイヌ民族の歴史:先住民研究で文化的多様性を考える」アイヌ・先住民研究センター 教授 加藤 博文

北海道の歴史を、従来の基本的な考え方や国家の歴史に当てはめて調べると、見落としてしまうことが多いと話す加藤さん。既存の理論や方法を見直し、新しいものを増やしていくのが研究であると、生徒たちへ説明しました。世界の歴史にも注目し、人類史の多様性を知ることができる先住民考古学。国境を越えたアイヌ民族の歴史を知り、文化的多様性に触れることができた生徒たちからは、「北海道と本州の歴史の違いに驚いた」「アイヌ民族の国を超えた交流があったことに驚いた」など、これまで聞いたことのない内容に驚きと関心を示していました。

民族の多様性について説明する加藤教授民族の多様性について説明する加藤教授

 

「動物問題は人間問題」大学院教育推進機構 CoSTEP 特任講師 池田 貴子

エキノコックス感染症は、人間を恐れない都市ギツネによって感染リスクが高まります。池田さんは感染の予防策として、都市公園と協働でベイト(駆虫薬入りの餌)を散布したり、地域対話を通して野生動物との共生について考える活動を行っています。講義では、都市ギツネの生態やエキノコックスについて解説し、公園でワークショップを開催したり学生とともに教材の動画や絵本制作に取り組む様子などを紹介しました。最後には、棲み分ける、交わらないことも共生であると、生徒たちへメッセージを伝えました。生徒たちからは「身近な動物だが知らないことが多く驚いた」「共生とは関りを持つだけではなく、交わらないことも大事なのだと知った」など、身近にある問題について強い関心を示す声が寄せられました。

都市ギツネの生態について解説する池田特任助教都市ギツネの生態について解説する池田特任助教

日  時:2023222日(水)13:3514:3514:5015:50
会場:札幌日本大学高等学校
参加生徒:1年生 約60

(広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)

 


アカデミックファンタジスタとは?

北海道大学の研究者が知の最前線を出張講義や現場体験を通して高校生などに伝える事業、「アカデミックファンタジスタ(Academic Fantasista)」。内閣府が推進する「国民との科学・技術対話」の一環として、北海道新聞社の協力のもと2012年から継続的に実施しています。2022年度はコロナ対策を十分に行って、札幌近郊の高校等を対象に22名の教員が講義を実施しました。2022年度の参加教員はこちら

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@Hokkaido.univ.taiwa