1925年に設立された北海道大学の和歌山研究林(和歌山県古座川町)が100周年を迎え、10月30日に記念式典が開催されました。同研究林は、現在は北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーションの一つとして運用されており、唯一道外にある研究林です。式典には、北大関係者や町民、学生ら約150名が参加し、教育研究施設としての歩みを振り返ると同時に、1世紀にわたりともに歩んできた地域住民への感謝の気持ちを伝える場となりました。
和歌山研究林は大半が急傾斜地で、山全体を効率よく移動するために「モノレール」が活用されています。式典に先立ち、今年3月に延伸したモノレール軌道の除幕・開通式が行われ、寳金清博総長や自治体関係者がモノレールに乗り、山頂付近にある貴重なコウヤマキの天然林を見学しました。

式典は古座川町平井地区の区民館で行われ、寳金総長、宮下和士・北方生物圏フィールド科学センター長のほか、来賓として友井泰範・和歌山県副知事、大屋一成・古座川町長、本山貢・和歌山大学長が登壇しました。
開会の言葉で岸田治林長は「和歌山研究林が平井の地に根を下ろして100年。今日の式典は、私たちにとって地域への感謝の場です。次の100年に向けたスタートラインでもあります。地域とともに歩み続ける新しい出発点です」とあいさつしました。

寳金総長は「北大は北海道の様々な場所と地域連携していますが、ここ平井地区とは特に濃密な関係を築けていると感じます。研究活動だけではなく、人口減少、高齢化など、日本全体の抱える問題について、地域の方々の協力を得て学生が一緒に課題に向き合う活動をしています。そこからイノベーションが起こって、新しい発想や地域創生のあり方ができるのではないかと期待しています」と話しました。


式典の最後に岸田林長は、「今日の会場は、実習で研究林に来た学生が、地域のお手伝いの一環で、区民館の壁を明るい水色にぬり直してくれました」と話し、北大の学生が研究だけではなく、地域の活動にも携わっていることを紹介しました。式典当日も早朝から、学生たちが地元の方々に料理を教わりながら懇親会でふるまわれる食事の用意をしたり、地域の伝統行事「餅まき」用の餅を一つ一つ包んだりして準備をしていました。
岸田林長は、「ある意味ここは『限界集落』ですが、地域の方々が助け合って生きていることを学生が間近で学べる、可能性に満ちた場所だと私は思っています。町長も、町役場の方も、学生たちの活動を全力でサポートしてくれる、こんな場所は他にないと思います。ここを日本一の研究、教育の舞台にしたいと、本気で思っています」と力強く訴えました。終わりには、研究林のヒノキで作った記念品が寳金総長から羽山勤・古座川町平井区長に手渡され、餅まきでにぎやかに締めくくられました。

記念式典の後は祝賀祭が行われ、古座川町の特産品であるゆずのジュースで乾杯し、地元の方々から郷土料理やジビエの鹿肉ソーセージ、猟友会の方々から猪鍋などがふるまわれました。会場には学生の餅つきの掛け声が響き渡り、宴は終始明るく和やかな交流の場となりました。

祝賀祭の後には区民館で懇親会も開かれ、和歌山研究林での学生実習がきっかけで結成した学生サークル「ワタリドリ」が、今後の古座川町での取り組みについて発表し、意見交換が行われました。参加していた町民は、「地域が高齢化する中で、学生さんの若い力は本当に助かるし、あいさつするだけでも元気をもらえます。町を学びの場として活用してほしいし、応援しています」と話していました。

【文:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 齋藤有香
写真:広報課 広報・渉外担当 長尾美歩】

