10月24日(金)、札幌南高校にて、4名の研究者が講義を実施しました。高校から当日の講義を受講した生徒、教員のみなさまから、講義レポートが届きましたのでご紹介します。
「極低温で柔らかくなるダイヤモンド」理学研究院 教授 柳澤達也
講義の前半は、デジタルオシロスコープや超音波マイク、パラメトリックスピーカーなどを用いて超音波(人には聞こえない高い音)を使った"測る技術"を実演し、日常生活のさまざまな場面で応用されている超音波技術を分かりやすく解説されました。後半は、錬金術師の歴史から、元素周期表、物性物理学へと講義を繋げ、最先端の半導体産業への超音波技術の応用の可能性について紹介がありました。さらに、柳澤先生が最近発見された人工ダイヤモンドのソフト化についても説明していただきました。実験がふんだんに行われ、専門的な知識のない高校生にも理解しやすい内容でした。生徒からは、「目の前で行われた実験が理解を深めた」、「液体酸素が青色なのは知っていたが、実際に見たのは初めてなのでよかった」、「科学技術が身近なものに利用されていることを知り、実際に実験も見られて貴重な体験だった」、「超音波などの物理を知ることができた」などの感想があり、ライブの実験を通して物理現象を実感できたことで、物理への関心が高まった様子がうかがえました。

「疫学と医学で読み解くデータサイエンス」環境健康科学研究教育センター 特任准教授 岩田啓芳
総合診療の医師でもある岩田先生。講義では、化学物質や室内環境などの環境因子が、病気にどの程度影響しているのかを、疫学と医学の両面から解説していただきました。診療現場での経験を通じて、病気の診断や背景、治療・予防を科学的に捉える臨床疫学の考え方を紹介していただきました。健康に関する情報についての質を判断する方法として「疫学」を紹介し、データサイエンスの視点によるデータの扱い方も解説していただきました。生徒からは、「日常生活の何気ないことでも大きな研究テーマになると感じた」、「医学はどちらかというと生物学に近いと思っていたが、疫学の統計や検査で数学を使うということを知った」、「疫学は計算ばかりではなく、一つの事実から考えられる原因を探っていく仕事で、その仮説を数字で証明していくのが面白いと思った」などの感想があり、生徒の中で医学に関する関心が高まったことに加え、学問分野としてのデータサイエンスへの関心も高まったようでした。

「細胞ってスゴい!見てわかる生きた反応」医学研究院 教授 大場雄介
「細胞がどのようにして環境の変化に気づき、それらにどう応答するのか?」という謎について、最先端の「バイオイメージング技術」を通じて、その様子を実際に可視化する研究を紹介していただきました。人体を構成する60兆個の細胞について、温度の変化や異物の侵入などの外界からの刺激に対し、それらが独立して感知し、瞬時に反応しながら人体を支えているというミクロな現象を、スライドなどの具体的な映像資料を多く用いて解説してくださいました。講義を受けた生徒からは、「自分の好きを極めている人たちは楽しそうだと思った。自分もやりたいことができるように頑張りたい」や、「全然知らないことばかりだと思っていたが、中学までの学習内容や高校での化学基礎と生物基礎の知識などが講演中に出てきて、これまで学んでいることはすべてつながっているのだと感じた」などの感想があり、生物と化学を横断する学問分野の講義を通じて、生徒の興味関心が高まったようでした。

「ロボットとコンピュータによる化学空間探索」化学反応創成研究拠点 特任教授 原渕 祐
量子化学計算を用いた化学反応の解析や、化学情報学と人工知能を用いた化学反応の予測など、有機合成実験の基礎から最先端まで、わかりやすく講義していただきました。シュレディンガー方程式、分子構造、エネルギー、ポテンシャル曲面、反応経路、安定構造、化学反応ネットワークなどの化学反応に関するキーワードに触れるとともに、化学反応ネットワークと関わる数学のグラフ理論との関連も紹介し、計算機を用いた化学反応の解析において化学・物理・数学の3科目が横断して関わっていると解説していただきました。生徒からは、「研究を通して、物質をより細かく知ろうとしているのが伝わり、とても面白い講義だった」や、「分子構造から分子エネルギーを算出している点に、数学の発想が役立てられていることが分かった」とか、「大学の学びは高校までと違ってもっと広くて深いのだと思った」などの感想があり、理学全般および大学における研究活動そのものについての関心が高まったようでした。

日時:2025年10月24日(金)
①14:15-15:05
②15:15-16:05
会場:北海道札幌南高校
(広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)
アカデミックファンタジスタとは?
北海道大学の研究者が知の最前線を出張講義や現場体験を通して高校生などに伝える事業、「アカデミックファンタジスタ(ACADEMIC FANTASISTA)」。内閣府が推進する「国民との科学・技術対話」の一環として、北海道新聞社の協力のもと2012年から継続的に実施しています。今年度は北海道の高校等を対象に31名の教員が講義を実施しています。2025年度の参加教員はこちら。
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