総合博物館 小林快次教授が世界にOMOSIROI(面白い)を広める「World OMOSIROI Award 6th.」を受賞

総合博物館副館長の小林快次教授が、「『ハヤブサの目』の異名を持つ恐竜化石ハンター」として、海外のクリエイターらとともに「World OMOSIROI Award(ワールド・オモシロイ・アワード)6th.」を受賞しました。

「World OMOSIROI Award」は、知的創造拠点・ナレッジキャピタル(大阪市)が、「OMOSIROI=新しい発見や価値に出会う喜び」を広めるために開催している国際的な賞です。6回目となる今回は、国内外251名の推薦者より推薦された79名の中から5名の受賞者が選ばれています。

2月8日にナレッジシアターで開催された授賞式では、受賞者達にトロフィーが手渡されたあと、受賞者パフォーマンスとしてそれぞれのプレゼンテーションがありました。

トロフィーはデザイナーが制作しただるま。<br>手前左から宇川選考委員、小林教授、宮原選考委員長 トロフィーはデザイナーが制作しただるま。
手前左から宇川選考委員、小林教授、宮原選考委員長

小林教授は、2019年9月に新属・新種であることが判明したカムイサウルス・ジャポニクス(通称むかわ竜)の魅力や、フィールド調査で野生のクマと遭遇した際の緊迫した状況などについて映像を交えて解説しました。会場は終始和やかな雰囲気で、時折笑い声もあがっていました。

恐竜研究のOMOSIROIについてプレゼンテーションする小林教授 恐竜研究のOMOSIROIについてプレゼンテーションする小林教授

選考委員長の宮原秀夫 氏(一般社団法人ナレッジキャピタル代表理事 / 元大阪大学総長)は、「恐竜が鳥類として生きているなど、非常に夢のあるお話でした。大阪大学の招聘教授でもいらっしゃるので、これからも連携していきましょう」とコメントしました。

カムイサウルス・ジャポニクスの特徴を解説する小林教授 カムイサウルス・ジャポニクスの特徴を解説する小林教授

また、選考委員のひとり宇川直宏 氏(現"在"美術家 / DOMMUNE代表)は「古生物学は現存する生物との比較で成り立つ学問なので、イマジネーションで歴史をアップデートしていくファンタジック(幻想的)な研究領域だと思いました。小林さんは、幻想を現実として立証し、進化の物語を描き直していっています。幻想性を突き詰めていくとOMOSIROIという感覚がつかめるということが、私にとっても新たな発見でした」と講評しました。

小林教授の受賞について講評する選考委員の宇川氏 小林教授の受賞について講評する選考委員の宇川氏

オープニングは高野山僧侶による声明ライブで幕を開け、エンディングでは音楽を通じて会場がひとつになる来場者参加型の大交流会が催されました。エンターテインメント性に富んだ演出で、訪れた約300名の心が動かされた大変OMOSIROI授賞式でした。

ロビーには、ハドロサウルス科皮膚痕の実物標本などの展示も ロビーには、ハドロサウルス科皮膚痕の実物標本などの展示も

兵庫県尼崎市から参加した小学4年生の丹野優さんは「カムイサウルスなどについて詳しく聞けて良かったです。また、爬虫類の中に恐竜があって、恐竜の中に鳥類があるという事をはじめて知り、面白かったです」と笑顔をみせました。

将来の夢は恐竜博士という丹野さん(中央)。お母さん(左)と一緒に参加してくれました 将来の夢は恐竜博士という丹野さん(中央)。
お母さん(左)と一緒に参加してくれました

授賞式を終えた小林教授は「他の受賞者の方々のプレゼンテーションや、選考委員の皆さんのお話を伺っていて、OMOSIROIには、国境を越えて社会を動かす力があるという事を改めて感じました。北海道大学には恐竜だけではなく、まだまだ面白い研究が沢山あります。研究者は単に自分が面白いと思って研究するだけではなく、その面白さを社会に発信していくことも大事なのではないでしょうか」と語りました。

小林教授の恐竜研究は、古生物学やサイエンスの領域をも越えて多くの人々を感動させています。このたびの受賞、おめでとうございます。

(文:総務企画部広報課 学術国際広報担当 川本 真奈美 写真:同担当 菊池 優)