![](https://www.hokudai.ac.jp/researchtimes/img/sousei_1.jpg)
創成研究機構で一般公開「キャンパスツアー2022」を実施―小惑星のかけらから探るリュウグウ誕生のひみつ
創成研究機構/理学研究院 教授 圦本尚義
6月3日(金)~5日(日)に3年ぶりに対面で開催された北大祭に合わせ、いくつかの研究施設も一般公開を実施しました。創成研究機構(北20西10)では6月4日(土)、「キャンパスツアー2022」を開催し、研究者の講演や施設見学ツアーが行われました。現地では32名が来場し、オンラインでは40名以上の参加者がありました。 講演では、探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の分析に取り組む創成研究機構/理学研究院 教授の圦本尚義(ゆりもと ひさよし)さんが、小惑星のかけらから、どんなことが分かるのかを解説しました。
はじめに、主催者を代表して北海道大学 理事・副学長/創成研究機構長の増田隆夫さんの挨拶がありました。増田さんは、「闇夜に光る蛍のような輝く知識を沢山集めてください。知識が集まると、これまで見えていなかったものが見えてきて、新たな発見につながります。本日は、知識と発見を追い求めてきた世界トップクラスの研究者の話や世界最先端の装置に触れて、サイエンスを楽しんでいってください」と語りました。
![挨拶する理事・副学長/創成研究機構長の増田隆夫さん](/researchtimes/img/sousei_2.jpg)
小惑星のかけらから何が分かるのか
つづいて、圦本(ゆりもと)さんが「46億年前にタイムスリップ!リュウグウ誕生のひみつ」と題して講演しました。圦本さんは、2020年12月に探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」のサンプル分析に取り組んでいます。リュウグウサンプルの初期分析は、6分野の国際研究チームがそれぞれ異なる角度から実施してきました。圦本さんはそのうちのひとつ、化学分析チームを率いています。2021年6月21日、本学にもリュウグウのかけらが届き、圦本さんらの研究グループでの分析が続いています。
■サンプル到着時の動画など詳細については、こちら↓の記事をご覧ください
「はやぶさ2」が持ち帰った「リュウグウ」のサンプルが北大にやってきた
https://www.hokudai.ac.jp/researchtimes/2021/07/post-31.html
■圦本さんが率いる化学分析チームの分析結果が、6月10日(金)米科学誌 "Science" に掲載されました!
プレスリリースはこちら↓
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220610_pr.pdf
![サンプルのレプリカを見せながら小惑星「リュウグウ」について解説する創成研究機構/理学研究院 教授の圦本尚義さん(提供:創成研究機構)](/researchtimes/img/sousei_3.jpg)
講演では、参加者から事前に寄せられた質問に答えながら、探査機「はやぶさ2」のミッションの概要や、これまでの分析で明らかになってきたリュウグウの誕生秘話を解説しました。リュウグウの元となった母天体は46億年前に岩石と氷微粒子が集まって誕生し、その500万年後に氷が溶けて天体内部が粘土化したとのことです。その後、衝突によって母天体が破壊されてリュウグウが誕生したと考えられます。さらに、リュウグウと同じ種類の惑星に由来する隕石と比較分析したところ、博物館で80年以上にわたって保管されていた隕石は地球の大気に汚染され、成分比が変化していたことが分かり、隕石学者として衝撃を受けたそうです。参加者は圦本さんの最新の研究成果に熱心に耳を傾け、最後の質疑応答タイムでは、沢山の質問の手が挙がりました。
![司会をつとめたURAステーションの堀内浩水さん](/researchtimes/img/sousei_4.jpg)
![圦本さんの講演に熱心に耳を傾ける参加者たち](/researchtimes/img/sousei_5.jpg)
施設見学ツアー
講演後は、2グループに分かれて施設見学ツアーが行われ、同位体顕微鏡とグローバルファシリティセンター(GFC)を見学しました。同位体顕微鏡は、小惑星サンプルの分析でも活躍している圦本研究室で開発された最先端の分析装置です。クリーンルーム内にある実物のリュウグウサンプルもガラス越しに観察しました。
同位体顕微鏡ツアーの様子
同位体顕微鏡(提供:創成研究機構)
GFCは、高度な研究機器の共用や人材育成により最先端の研究を支えている施設です。GFCでは、カラー3Dレーザー顕微鏡で植物など身の回りの物を観察しました。
![電子顕微鏡について解説するグローバルファシリティセンター 副センター長・特任助教の佐々木隆太さん (提供:創成研究機構)](/researchtimes/sousei_8.jpg)
![最先端の顕微鏡で身の回りの物を見る演示実験をするグローバルファシリティセンター 技術専門職員 吉沢友和さん (提供:創成研究機構](/researchtimes/img/sousei_9.jpg)
![参加者全員で記念撮影(提供:創成研究機構)](/researchtimes/img/sousei_10.jpg)
イベント終了後、参加者に感想を聞いたところ、小学1年生の中澤颯太さんは、「先生が、"(宇宙の研究について)やろうと思ったらできる"と言っていたことが印象に残った」と答えてくれました。また、同じく小学1年生の菊池遥紀さんは、「北大にますます行きたくなった」と話していました。
![イベント終了後、感想を聞くと「楽しかった!」と元気よく答えてくれた中澤颯太さん(小1)と、菊池遥紀さん(小1)](/researchtimes/img/sousei_11.jpg)
参加者アンケートでは、「圦本先生のお話は初めて知ることも多く楽しかった」、「先生に直接質問できて、良い体験となった」、「貴重なサンプル、機器を見ることができた」、「北海道に行くことができなかったので、オンライン配信がありがたかった」といったコメントが寄せられました。
![会場となった創成科学研究棟](/researchtimes/img/sousei_12.jpg)
【創成研究機構/広報課 学術国際広報担当 川本真奈美】