【Academic Fantasista 2023】札幌北高校で2名の研究者が出張講義を実施

「芸術と美術館」文学研究院 准教授 今村信隆

今村さんは、芸術学や博物館学などを横断的に研究しています。講義の前半では、平安時代の絵巻物や、西洋の絵画、漫画などを例に、物語を伝えるときに重要な顔の表現技法について解説。様々な表情の絵にセリフをつけたり、隣の人のセリフと交換してみるワークを実施し、顔の表情によってセリフのニュアンスが変わること、逆にセリフによって表情が違って見えることを紹介しました。後半は美術館の歴史をひもときながら、禁止事項が多く、堅苦しい印象もある美術館が、コミュニケーションの場としての可能性も秘めていることを、いくつかの事例とともに紹介しました。今村さんは最後に「芸術も、美術館も楽しいので気軽にふれてみてください」と、生徒たちに語りかけました。

生徒と会話をしながら講義を進める今村准教授生徒と会話をしながら講義を進める今村准教授

講義を受けた生徒からは「作品の価値は自分自身がどう感じたかで決まる、ということにとても感動した。これからは積極的に美術館に行ってみたいと思った」「何百年も前の作品の特徴が、今のアニメ、漫画に反映されていると知り、興味深くおもしろかった」といった感想が聞かれました。

日時:2024年1月23日(火)15:50-17:20
会場:北海道札幌北高等学校
参加生徒:1-2年生 12名

「がん薬物療法 最新の治療開発」北海道大学病院 助教 川本泰之

川本さんは食道や胃・大腸など、体の消化器にできるがん治療を専門にしています。がん細胞は分裂のスピードが速い特徴があり、細胞の分裂自体を阻む従来の抗がん剤は、正常な細胞も区別なく攻撃してしまうため、脱毛などの副作用があったと説明しました。一方、最新の抗がん剤である分子標的治療薬は、がん細胞を遺伝子レベルで分析し、特定の分子だけを狙い撃ちしてがん細胞の分裂を阻めることなどを解説し、新薬開発のための研究が続いていることを紹介しました。

生徒の質問に答える川本助教生徒の質問に答える川本助教

講義を受けた生徒からは「遺伝子変異と薬の話はとても興味深く、医学に関しての考え方が深まった」「抗がん剤治療の仕組みについてよく知ることができ、高精度医療への理解を深めることができた」など、がん治療の進歩や研究に対する関心のほか、「高校で学習している内容が大学での学びに繋がることが分かり、努力するモチベーションになった」などの感想が聞かれました。

日時:2024年2月8日(木)16:00-17:30
会場:北海道札幌北高等学校
参加生徒:1-3年生 37名

(広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)

アカデミックファンタジスタとは?

北海道大学の研究者が知の最前線を出張講義や現場体験を通して高校生などに伝える事業、「アカデミックファンタジスタ(Academic Fantasista)」。内閣府が推進する「国民との科学・技術対話」の一環として、北海道新聞社の協力のもと2012年から継続的に実施しています。今年度は北海道の高校等を対象に31名の教員が講義を実施しています。2023年度の参加教員はこちら

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