【Academic Fantasista 2024】札幌北高校にて4名の研究者が出張講義を実施

札幌北高校にて4名の研究者が出張講義を実施しました。当日の講義レポートをご紹介します。

「超音波で「観る」固体中の電子」理学研究院 教授 柳澤達也

講義は、実験を中心に行われました。物理学を早押しクイズで学んだり、スピーカーから出るヒトの可聴域の最高値に近い周波数の「モスキート音」を聞いたりしました。また、超音波センサーとデジタルオシロスコープを用いた実験や、様々な場面で応用されている超音波技術の例に触れました。講義の後半では、液体窒素を使って低温になった超電導状態の物質に磁石を近づけて観察し、柳澤先生の最近の研究テーマである「極低温で柔らかくなるダイヤモンド」についての研究について学びました。生徒たちからは、「身の回りに超音波を利用している装置がこんなにたくさんあると知らず驚いた。社会への応用は工学が強いイメージだったが、物理もかなり応用されていると分かった」「基礎研究が非常に重要であることを実感した。高校の学習をもとに、新たな学習を大学で進めていきたい」「実験も面白さも感じることができた」との感想が聞かれました。

実験で生徒たちに体験させながら講義を進める柳澤教授実験で生徒たちに体験させながら講義を進める柳澤教授

日 時:2024年11月27日(水)15:50ー17:20

参加生徒:1-2年生 18名

「人工知能(AI)を使って未来の医療を作る」医学研究院 教授 工藤與亮

医療における人工知能(AI)の研究開発を行っている工藤先生は、まずAIの基礎知識や歴史を紹介し、最先端の開発について紹介しました。画像診断の画質向上、病変の自動検出・自動診断や、手術支援の自動認識など、AIの具体的な利用例について紹介しました。さらに、現在は患者さんの動画や音声などをリアルタイムに自動解析するシステムも開発していると説明しました。受講した生徒からは、「AIと医療の関わりについて、知らなかった側面や、今後どのようにアプローチしていけば良いのかについて知ることができた」、「医学における人工知能の利用というものをイメージできた」のほかに、「医療に関わる方法は医療従事者になるだけではないことがわかって、視野が広がった」などの声が寄せられました。

医療とAIについて解説する工藤教授医療とAIについて解説する工藤教授

日 時:2024年12月10日(火)15:50-17:20

参加生徒:1-2年生 53名

「陽子ビームを使ったがん治療」工学研究院 教授 松浦妙子

松浦先生は、理工学的観点からがん治療を行う陽子線の研究を進めています。陽子線は放射線治療の一種で、患者さんの体にメスを入れずに体内の深くにあるがんを治療できるのが特長だと説明しました。現在は治療の精度をさらに上げるための研究がされており、体の外から見えないがんの位置を捉え、どう狙いを定めるのか、狙った場所にビームが命中したことをどうやって確認するのかなど、開発中の技術について解説しました。受講した生徒からは、「工学と医学と理学、さまざまな学部の融合の魅力が知ることができて、より総合大学である北大への興味がわいた」、「目に見えないものを見る研究にロマンがあると思った。将来そういった研究に近い形で携わりたいと思った」とか「陽子線をファイルに照射したサンプルやシュミレーション動画など貴重なものを見ることができてわくわくした」などの声が寄せられました。

陽子線について解説する松浦教授陽子線について解説する松浦教授

日 時:2025年1月22日(火)15:50-17:20

参加生徒:1-2年生 34名

「大学・大学院での専門と就職とキャリアデザイン」高等教育推進機構 特任講師 川上あき

大学では進路に関する授業や、企業へのインターンシップを実施している川上さん。進路や就職、自分の人生をどうデザインしていくかについて話しました。具体的に自己分析する方法や、目的の達成のための取り組み方を解説しました。講義の後半では、公共政策大学院修士1年(当時)の青森涼平さんと獣医学院博士課程1年(当時)の宮本汐里さんが登壇し、大学生が実際にどのように進路を選んだかを聞きました。動物が好きだという気持ちを大切にしてきた宮本さんは、「なぜか惹かれる、という心の声を大事にして、魅力を感じたことにとことんのめりこみ、疑問は納得いくまで調べてください」と高校生にエールを送りました。生徒からは「自分の進路やキャリアの選び方について、小さなことから目標を決めていくことの大切さを知ることができた。勉強のモチベーションも上がった」との声や、「今まで漠然としていた自分のキャリアプランを明確なものにすることができた。自分の興味・関心の幅を広げていきたいと思った」、「大学で研究することの意義を理解することができてとても良い経験になった。自分のやりたいことと自身の能力を両立させることの難しさがわかった」などの感想が寄せられました。

生徒へ質問を投げかけながら講義を進める川上特任講師生徒へ質問を投げかけながら講義を進める川上特任講師
生徒の質問に真剣に耳を傾ける獣医学院博士課程1年生(当時)宮本汐里さん(左)と公共政策大学院修士1年生(当時)青森涼平さん(右)生徒の質問に真剣に耳を傾ける獣医学院博士課程1年生(当時)宮本汐里さん(左)と公共政策大学院修士1年生(当時)青森涼平さん(右)

日 時:2025年2月7日(火)16:15-17:45

参加生徒:1-2年生 51名

(広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門)

アカデミックファンタジスタとは?

北海道大学の研究者が知の最前線を出張講義や現場体験を通して高校生などに伝える事業、「アカデミックファンタジスタ(Academic Fantasista)」。内閣府が推進する「国民との科学・技術対話」の一環として、北海道新聞社の協力のもと2012年から継続的に実施しています。今年度は北海道の高校等を対象に29名の教員が講義を実施しています。2024年度の参加教員はこちら

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