グリーントランスフォーメーション(GX)先導研究センターが始動

<写真>5月に開かれたキックオフシンポジウムでGX先導研究センターの計画を説明する幅﨑浩樹センター長

「グリーントランスフォーメーション(GX)」は、再生可能エネルギーを中心とした社会へ転換し、温室効果ガスの削減と経済成長の両立を目指す取り組みです。北海道大学は「知のGX拠点」形成を目的として今年4月、「GX先導研究センター」を設置しました。5月に開催されたキックオフシンポジウムなど、これまでの主な活動をご報告します。

北海道は、太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー利用が国内で最も盛んに行われ、GX産業を集積したモデル地域として期待されています。令和6年6月には、北海道・札幌市が国のGX金融・資産運用特区に選ばれるなど、道内ではGX推進の機運が高まっています。こうした中で今年4月、北海道大学は「GX先導研究センター」を設立しました。センターは、再生可能エネルギーや蓄電池などの研究者ら約80人が分野を横断して集まり、先駆的な研究を推進するとともに、国や自治体、金融機関と共同でGXの実現を目指す拠点です。

GX先導研究センターが担う役割(GX先導研究センターホームページより)GX先導研究センターが担う役割(GX先導研究センターホームページより)

5月には、産業界や自治体との連携強化を目的にキックオフシンポジウムが開催され、研究者や学生のほか、企業、自治体関係者など約300名が参加しました。

キックオフシンポジウムで挨拶する寳金清博総長キックオフシンポジウムで挨拶する寳金清博総長

キックオフシンポジウムで寳金清博総長は、「次世代のために持続可能な社会を実現することは、我々の重要な責務です。GX先導研究センターは、分野や業界を横断して教育や研究を促進し、子どもたちの未来に貢献します」と挨拶しました。 幅﨑浩樹センター長は、センターの活動計画を紹介するとともに、北大大学院に産業界や官公庁の専門家を招く共通授業科目「GX特論」を2026年度にも開講する構想を明らかにしました。

幅﨑浩樹・GX先導研究センター長幅﨑浩樹・GX先導研究センター長

幅﨑センター長は「GX先導研究センターは教育研究拠点として、卓越研究を推進し、次世代GXリーダー人材の育成を行っていきます。道内の各大学や産業界、自治体とも連携して、社会課題の解決につなげていきたいです」と話しました。続けて、北海道や札幌市の担当者が、GX金融・資産運用特区に関する取り組みを紹介しました。

キックオフシンポジウムではGXに関する自治体の取り組みも紹介されたキックオフシンポジウムではGXに関する自治体の取り組みも紹介された

このほか、GX先導研究センターに所属する工学研究院や理学研究院、農学研究院、地球環境科学研究院など多様な分野の研究者が、再生可能エネルギーをはじめ、新たな蓄電池の基礎研究や、蓄熱技術、二酸化炭素の回収・利用などについて、最新の研究を紹介しました。

GXに関する北大の最新研究成果が紹介されたGXに関する北大の最新研究成果が紹介された

閉会のあいさつで、研究・産学連携統括の瀬戸口剛理事・副学長は、「北海道はGXに関わる活動の先進的な取り組みの場となります。GX先導研究センターは、日本の中でも大きな拠点になるように頑張っていきたいと思います」と話しました。

瀬戸口剛理事・副学長瀬戸口剛理事・副学長

7月には、「GX時代の陸上養殖と資源循環」と題して第1回懇親会が開かれ、酪農と水産業のあいだで資源利用の分断が起こり、バイオ液肥の過剰発生や環境負荷といった課題が顕在化していることが話題となりました。こうした課題に対し、畜産副産物を微細藻類の培養に活用する技術や、資金調達や事業連携によって循環を生み出す取り組みについて、研究者、企業、金融関係者など約100名が参加し、多様な立場から意見交換しました。

GX先導研究センターはこれからも、環境対策と経済の好循環を促進するため、研究を進めていくと同時に、多様な立場からの知見と対話を深めていきます。今後の活動にもぜひご注目ください。

【文:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 齋藤有香 
写真:広報課 広報・渉外担当 長尾美歩】