総合博物館「ノーベル賞展示室」リニューアルオープン

<写真>新設されたメダルラックの前で記念撮影するベンジャミン・リスト特任教授(中央)ら

北海道大学総合博物館は8月6日、創基150周年記念事業の一環で、本学のノーベル賞受賞者の功績などを紹介する「創基150周年記念展示『"Lofty Ambition"(高邁なる大志)の系譜』」をリニューアルオープンしました。本学からは2010年に鈴木章名誉教授が、2021年には北海道大学ユニバーシティプロフェッサーで化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD、以下ICReDD)のベンジャミン・リスト特任教授が、それぞれノーベル化学賞を受賞しています。新たな展示室では、2人の研究成果やレプリカメダルを飾るメダルラックなどが公開されました。

同日開かれたオープニングセレモニーでは、ドイツから来日したリスト特任教授のほか、寳金清博総長、山内太郎総合博物館長があいさつしました。

寳金総長は、「150年前にクラーク博士が説いたのは、学生を一人前の大人、ジェントルマンとして扱うということでした。規律を細かく明文化するのではなく、自律と自由のバランスを重んじるということです」と振り返り、続けて「リスト先生の研究は、自律的かつ自由な発想で成果を追い求めるという本学の伝統を、確かに受け継いでくださっていると感じます。リスト先生の素晴らしい業績を大学として皆さんにお見せできる機会を得られてうれしいですし、次の鈴木先生、リスト先生が必ずこの北海道大学から生まれると確信しています」と話しました。

オープニングセレモニーでスピーチをするリスト特任教授(中央)と、寳金総長(左)、山内館長オープニングセレモニーでスピーチをするリスト特任教授(中央)と、寳金総長(左)、山内館長

山内館長は、「歴史の中で育まれてきた志と精神を目に見える形で示す、創基150周年にふさわしい展示になったと自負しています。この展示室が、次の世代を担う若い皆さんにとって、大きな志を抱くきっかけとなることを願っています」と強調しました。

リスト特任教授は、「この博物館に自分の展示ができたことを、大変光栄に思います。ノーベル賞を受賞した瞬間にも匹敵する、それ以上に特別な瞬間だと感じています」と喜びを表現しました。リスト特任教授は、金属を使わない触媒「不斉有機触媒」を開発した功績でノーベル化学賞を受賞していますが、「金属を使わない触媒のような『クレイジーな発想』を追い求めることは、私の責務だと感じています。常識にとらわれず挑戦する自由な発想を後押ししてくださっている北海道大学の皆様に、心から感謝しています。そして、機械学習やAIなどを駆使して触媒科学の次の革命を起こすことこそ、私の使命であり、大きな喜びです」と展望を語りました。

展示室オープンのテープカットを行う(左から)寳金総長、リスト特任教授、山内館長展示室オープンのテープカットを行う(左から)寳金総長、リスト特任教授、山内館長

セレモニーに続き、展示室前でテープカットが行われ、出席者らはリニューアルされた展示室を内覧しました。

二つのノーベル化学賞をつなぐ新展示室

展示室はもともと、2001年の創基125周年を記念し、世界で活躍する本学の研究者を紹介する場所として始まりました。2010年、鈴木名誉教授のノーベル化学賞受賞を記念して大幅に改装され、受賞研究である「鈴木・宮浦クロスカップリング」の解説や、実際に使用されていた机などを展示していました。

リニューアルした展示室を見学するリスト特任教授(中央)らリニューアルした展示室を見学するリスト特任教授(中央)ら

その後、2021年にリスト特任教授がノーベル化学賞を受賞され、2024年にノーベル賞メダルの公式レプリカが本学へ寄贈されたことを機に展示室がリニューアルされました。新たな展示には、リスト特任教授の受賞研究である不斉有機触媒についての解説パネルをはじめ、関連する試薬や論文、リスト特任教授がICReDDで使用しているものと同じ型の机などが加わりました。

レプリカメダルが飾られた五角形の棚の前で笑顔を見せるリスト特任教授レプリカメダルが飾られた五角形の棚の前で笑顔を見せるリスト特任教授

今回リニューアルした展示の見どころの1つは、鈴木名誉教授とリスト特任教授のノーベル賞メダルの公式レプリカを並べて飾る、新設のメダルラックです。道産材(ナラ材)を用いて制作され、ラックの左半分は、鈴木名誉教授の功績であるクロスカップリング反応を表現しており、ベンゼン環(六角形)を2つ結合させた形をモチーフにしています。一方、右半分はリスト特任教授が研究に用いる有機触媒であるL-プロリン(五員環のアミノ酸)の分子構造をかたどっています。鈴木名誉教授は「六角形」、リスト特任教授は「五角形」の金色の枠内にレプリカメダルが収められており、飾り棚自体がそれぞれの業績を象徴するデザインになっています。

このほか、水分野のノーベル賞とも称されるストックホルム水賞や、NASAから贈られた宇宙飛行士毛利衛さんのスペースシャトル搭乗記念の額も、あわせて展示されています。

創基150周年を記念したこの展示室は、本学が育んできた自由で自律的な研究の精神にじかに触れられる機会となります。ぜひたくさんの方に足を運んでいただきたいと思います。

【文・写真:広報・社会連携本部 広報・コミュニケーション部門 齋藤有香】

 

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